松本市里山辺の松本民芸館(松本市里山辺、TEL 0263-33-1569)で現在、企画展「木と漆 ぬくもりの手仕事」が開催されている。
同館創設者の民芸作家・丸山太郎が収集した木工・漆工品の中から、約120点を展示。椀(わん)や片口などの器をはじめ、盆や膳、縁起物をかたどったいろりの自在鉤(かぎ)や、菓子型なども並ぶ。
チラシなどにも使われた愛きょうある表情の馬は、「足も短く、目の位置も左右で異なっているが、太郎にとって思い入れのある品の一つ」と同館の田中有規子館長。東京の古道具店で最初に目にしたときには売約済みとなっていたが、再度訪れると売れずにまだあり、購入できたという。ほかに、塔(とう)や厨子(ずし)、福助なども。「うまく作ろう、美しく見せようという意図が見えないのがいい。昔の人の信仰の深さが伝わってくる」
収集だけではなく、民芸作家として版画や螺鈿(らでん)卵殻細工などの作品も手掛けた丸山太郎。日本民芸の祖・柳宗悦からも褒められたという卵殻細工は、手回りの品などを入れておく文庫や、たばこ入れ、インクつぼ、筆筒などを紹介。制作道具も一緒に展示する。
「漆は工程や色合い一つとっても奥が深い。ぬくもりを感じる作品をゆっくり見てもらえれば」と田中館長。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は、高校生以上=300円、中学生以下無料。月曜休館。4月23日まで。