暮らす・働く

松本・庄内で「ホタル観察会」-10年越し、ホタル「も」住める環境づくり

29日は約100匹を確認。これから徐々に増えるという。

29日は約100匹を確認。これから徐々に増えるという。

  • 0

  •  

 松本市庄内の大型ショッピングセンター「コモ庄内」(松本市出川1)の北東側にある「多自然水路」に今年もヘイケボタルが出現し始めた。

ホタルの光を見つめる子どもたち

[広告]

 以前は川にはゲンジボタル、田にはヘイケボタルが飛んでいた周辺一帯。区画整理工事が進む中、2003年に信州大学理学部の藤山静雄教授の下で現地を調査し、水路の移転を行った。「水路の泥、植物、ホタルの幼虫を含む小動物を丸ごと移した。かつての生息地の環境をモデルに、できるだけ松本の原風景に近い環境を保つことに努めている」と藤山教授。住民有志らが維持・管理しながら、毎年勉強会や観察会などを開催。昨年は一晩に約600匹のホタルを確認できた日もあったという。

 6月29日には、学習会と今年初の観察会を開催。観察会には約150人が訪れた。「今年は4月に雪が降って冷え込んだり、雨が少なかったりと気候の影響が大きいのか、例年より出現が遅い」と水路の手入れを行う「庄内ほたると水辺の会」の上條慶子さん。辺りが暗くなる20時前には、水路のあちこちでホタルが光り始め、この日は100匹ほどを確認。子どもたちは「あそこにいる」「ここにもいる」と声を上げたり、手の上に乗せたりしながら楽しんでいた。

 今年は、市街地の女鳥羽川付近でもホタルが確認されている。昨春、松本青年会議所の「ホタルプロジェクト」の一環で、四柱神社周辺の水場にヘイケボタルの幼虫200匹を放流。「ホタルが住めるような環境を取り戻しつつあるのではないか」(藤山教授)。また、市民団体や専門家らが「松本ほたる学会(まなぶかい)」を発足、内田を皮切りに、各地で学習会や観察会を始めている。

 「ホタルだけではなく、ホタル『も』住める自然環境を維持することが目標。手に触れられる自然の水辺を未来に残したい」と上條さん。取り組みを始めて10年、生物は定着しつつあり、観察会に参加する人やリピーターも年々増加する中、課題は今後の維持管理と周辺施設や行政との協力関係だという。「会のメンバーも、商業施設や行政の担当者もずっと同じ人というわけにはいかない。環境を維持するためには、人が代わっても思いは共有できるようにする必要がある。この水路のへの理解・協力が得られるように話し合い、皆が協力することで、この先も守り続けたい」

 観察会は今月6日・13日にも行われる。実施時間は19時30分~21時ごろ。ホタルが最も光りやすい時間は20時過ぎ。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース