浅間温泉の「手仕事扱い処GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で現在、陶芸家・ウエダキヨアキさんの個展「ウエダキヨアキ展III いろんなカタチ」が開催されている。
元画家という経歴を持つウエダさんの作品は絵付けと形が特徴的。「焼き物に没頭している感じはなくて…。土より、絵筆や形を作るための道具を持っている時間の方が長いかも。原点(絵画)が影響しているのだと思う」と話す。
3年ぶり3回目となる同ギャラリーでの個展。カップや皿などの食器類をはじめ、ふた付きの器「ふたもの」、オブジェなど約180点を展示する。カップや皿は、さまざまな形や大きさのものを制作。大皿も多く用意する。四角や球形などさまざまな形の「ふたもの」は20点以上を出展。ふた部分には建物や、真ちゅうで作った植物や鳥などが付いている。しょうゆ差しのような形をしたものもあり「調味料入れでもいいし、ふたを取って花器として使ってもらってもいい」
「浄化あるいは再生」と名付けられた大型のインスタレーション作品は、10年前に制作した作品を分解して新たな作品に「再生」したもの。中央に立てた大きな流木を、松の球果・種鱗(しゅりん)からイメージしたという、羽のようなものが覆う。「舞ってまた芽生えるというところから『浄化』『再生』を連想した」。LEDライトを巻き付けることで生命感も表現したという。同展が、昨年休業していた同ギャラリーの再開後初の展示となることから「ゆこもりの『再生』も意識した」とウエダさんが話すと、同ギャラリーの瀧沢一以さんは「そうだったのか、今気付きました」と驚きながらも、うれしそうに笑顔を見せた。
インスタレーションでも使用している小型のオブジェ「因子A」「因子B」を同ギャラリーへ続く道沿いに置き、来場者を楽しませる工夫も。「ウエダさんの作品は自然にうまくなじみ、共存できる。こんな作家さんはなかなかいない」(瀧沢さん)。
「自分では新しい表現ができた展示だと思っている。新たな一面を見てもらえたら」とウエダさん。「今は黒土と赤土がメーンなので、今後は白土の作品にも挑戦してみたい」と意欲を見せる。
作品は販売も行う。カップ=2,300円~、皿=1,500円~、ふたもの=3,500円~など。営業時間は10時~18時。火曜・水曜定休。入場無料。5月26日まで。27日と5月11日には同店中庭で、ウエダさんの作品を使ったお茶会(11時~15時、一服300円、予約不要)も開く。