松本市と朝日村の木工作家2人が使いやすく買いやすい家具作りに取り組む活動「パーマネント・ファニチャー・ムーブメント(pfm)」をスタートさせた。
木工作家の前田大作さん(松本市入山辺)と藤牧敬三さん(朝日村)の2人が「職人に徹した物づくりを実践し、技術をシェアし、分業することで機能的にも価格的にもよりよいもの作りたい」と始めた活動。前田さんがデザインや広報などプロデュース面を担当し、藤牧さんが制作を担当する。
昨夏、イベントで隣のブースに居合わせたことがきっかけ。「お互い名前は知っていたが、会ったのは初めて。2人で話すうちに、作家同士が力を合わせて作業を効率化することで作り手にも使い手にも良いものが生まれると思った」と前田さん。「藤牧さんは物づくりに集中したい、まさに『職人』。自分は人と話しながら新しいものを作り出すのが好きなので、『分業』することでお互いに作りたいものを作りやすい環境ができるのではないか」と感じたという。話し合いと試作を重ね、今年に入ってから本格的な制作を開始。本棚やダイニングテーブル、スツールなどの家具からカッティングボード、木べらなどの小物まで約15点が完成した。
3日15日に始まった新作発表会の会場は、市内の飲食店や和菓子店、洋品店、人形店など7店舗。各店舗に合わせ数点の作品が並ぶ。「松本らしさを考えたときに、街の店舗で展示することで、松本という地域がにじみ出るのではないかと思った」と前田さん。知り合いの店に趣旨を説明すると、皆快諾してくれたという。
会場の一つ、イタリア料理店「cucina(クチーナ)にし村」(大手2)では、木べらとスツールを展示する。2人が初めて取り組んだのが木べら。同店オーナーシェフ・西村祐介さんのアドバイスを受けながら制作した。今後も改良を重ね、5月には「プロ仕様」としての販売も予定する。
生花店「ことの葉」(同)の店主・井口尚子さんは前田さんの同級生。「半ば強引な依頼だったが(笑)、一緒に何かできればと思って」と話す。貸本スペースがある同店には本棚を展示。「使う場面を考えてデザインする。置いて絵になるものを…と考えた」と前田さん。「一見シンプルだが、細かいところに気を配っていると感心する」と井口さん。
「各店舗の方やそこに足を運んでくれた方の話を聞きながら、使ってくれる人のためにどこまでできるかを突き詰めていきたい」と前田さん。「今後も、できれば年2回ほど新作発表を行っていければ」とも。
新作発表会は今月17日まで。会場は開運堂本店、ジュエリーサロン鶴、k’not a knot(ノットアノット)・New Ordinary、クチーナにし村、ワヰン酒場かもしや、ことの葉、村山人形店。営業時間は各店により異なる。