松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-3400)2階の多目的ホールで現在、青木古道さんによる写真展「欣求異土(ごんぐいど)3-光あれ」が開催されている。
松本で仕事をしながら写真撮影を行っている青木さん。同展では主に市内で撮影した写真30点を展示する。落ち葉や空、夜景などの日常風景を被写体に、色彩やコントラストに手を加えた作品は、何枚か重ねたように見えるものや、鮮やかな色合いのものなど絵画のような雰囲気。「心の中のイメージと日常生活が合う瞬間を撮っている。加工することでさらに自分のイメージに近づける」と青木さん。以前から撮影はしていたが、アート化した作品を制作するようになったのは4~5年前からだという。「心に映る鮮烈な光や鮮やかな色彩、あるいは暗い風景などのイメージを、身の周りの実際の現象と出合うことによって引き出し、作品化している。『心のリアリズム』というか、心の中を表現しているのかな」
2010年から毎年個展を開催し、今回が3回目。タイトルの「欣求」は仏教の言葉「厭離穢土 欣求浄土(おんりえど ごんぐじょうど)」から取った。「汚れた娑婆(しゃば)から離れて清い仏国土に往生したいという意味だそう」。「異土」という言葉には、「心の内に現れては消え、浮き沈みするさまざまなイメージ」という思いを込めている。
期間中は青木さんが在廊する。「写真のリアリズムに拘泥せず、自分の心の中のイメージに従って制作した作品。『こんな写真の世界もあるんだな』と思ってもらえればうれしい」と来場を呼び掛ける。
開館時間は10時~18時。入場無料。12月9日まで。