信州大学人文学部芸術コミュニケーション講座(松本市旭3、TEL 0263-37-3247)は11月22日~29日、松本市美術館で同館との共同企画「ここも そこも どこかのここで」を開催する。
幅広い分野の作家を迎えてワークショップなどを行いながら、芸術表現方法を模索する研究を行う同講座。同館との共同企画は5回目で、今回は小林史子さん(東京都)、前沢知子さん(同)、水野勝規さん(京都府)の3人を迎える。今年のテーマは「まちと美術の関係」。3作家の作品を松本の人々にとってなじみのある建物・場とつなぎ、そこから見えてくるまちと美術の関係を考える。「『街とアート』については、昨年も話が出ていた。昨年は作家を皆さんに紹介することでつなごうとしていたところがあるが、今年はその先で、何ができるのかを考えた部分もある」と同学部の金井直准教授。
18日には、同館で前沢さんによるワークショップ「アシノウラ美術館」が行われた。市内の中学生をはじめ10数人が参加。部屋に敷き詰めた布の上で、「体を使って描く」ことについて前沢さんが説明した後、まずは準備体操。それから絵の具が入ったビニール袋を手にし、ペン先で穴をあけて垂らしていき、足の裏を使って自由に広げていく。最初は恐る恐るという雰囲気だった参加者たちも、徐々に足が汚れてくると動きが大胆に。白、銀、ラメの絵の具や、お湯をまきながら、偶然から生まれる色や模様を楽しんだ。
「使う色から最初は『雪』のイメージをしてもらった。そうすることで『さあ、絵を描くぞ』という構えが少なくなり、距離が縮まる。始まってしまえば個々のイメージが広がっていく」と前沢さん。「絵の具を踏むのは初めてだったが、やってみると気持ちがいい」「一回汚れてしまえば、後は楽しい」と服まで白くしながら笑顔を見せる参加者の姿も。できあがった布は、前沢さんの作品の中で使われるという。
先月からは、7月に前沢さんと共にワークショップで制作した絵と、店に飾ってある絵画を交換してもらう企画をスタート。学生が店舗を訪ねて企画の意図を説明し、11店の協力を得た。今夏、解体された山崎歯科医院の外壁に使われていたレンガを使ったインスタレーションも予定している。「街とアートの関係を考えたときに、学生として何ができるか。期間中はワークショップやトークショーもあるので、ぜひ足を運んでもらえれば」(金井准教授)。
開館時間は9時~17時(入場は16時30分まで)。月曜休館。入場無料。ワークショップなどの詳細はホームページで確認できる。