実演やワークショップなどでクラフトと触れ合うイベント「クラフトピクニック」が10月13日・14日、松本・あがたの森公園(松本市県3)で開催された。主催はNPO法人松本クラフト推進協会。
「ものを使う人と作る人が出会い、ものづくりの過程を楽しむ」ことが目的の同イベント。5月に行われる「クラフトフェア」とは異なり、出展者は県内が中心で、実演やワークショップを行うことを参加条件としている。11回目となる今年は、木工、染織、金属、ガラス、革製品、粘土や焼き菓子、コーヒー、ジュース、ジャムなどの食品も含めた約100組が出展。両日、天候にも恵まれ、ワークショップを楽しんだり、芝生で敷物を広げて食事をしたりくつろいだりする人も多く見られた。
今年の招待出展「松本ほうき」は、江戸時代後期から農閑期の副業として松本地域で作られていたもの。「この道35年」という塩尻市の米澤勝義さんが、説明をしながらほうき作りの実演を行った。米澤さんは原料となるホウキモロコシの栽培から行い、収穫してほうきを制作している。「30代ぐらいの若い世代の人の反応が良くて驚いた。初日に並べたものはすぐに売れてしまったので…急いで追加で作ったがそれも売り切れてしまうほど」と長男の資修さんは話す。
作り手と使い手のコミュニケーションの橋渡しとして企画した「ピクニックガイドツアー」では、ガイド役のスタッフを先頭に会場内を回りながら、気になるブースを見学した。各ブースの出展者は気さくに質問に応じながら、材料や作業順序を説明。シカの革で作るポーチ作りを行った「千年の森自然学校」(大町市)は作り方や革の扱い方を解説し、スピンドルによる糸紡ぎの実演を行った「羊の恵み」(松本市)は、くしで羊毛の繊維の流れを整えるカーディングをしてから、スルスルと糸を紡ぐ様子を見せた。寄せ木の小物を作るワークショップを行った「メトバ工房」(同)は材料となった寄せ木の作り方を問われて説明した。「皆さん、イベントの趣旨をよく分かっていらっしゃるので、聞くと丁寧に応じてくれる。こういうコミュニケーションが楽しい」(同スタッフ)。
「今年は食品ブースも実演・ワークショップを行ったので、さらに体験の幅が広がった」と実行委員長の倉澤聡さん。「来場者と出展者が一緒にものづくりを楽しむことが、ゆったりとしたいい雰囲気を生み出しているのだと思う」と話す。