松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-3400)で現在、日独交流150周年記念「マイセン磁器の300年-今につづく魅惑の彩り-」が開催されている。
東洋との交易を背景に生まれた西洋磁器の発祥とされているマイセン王立磁器製作所ができたのは1710年。中国からヨーロッパへと伝わった磁器に魅せられたザクセン選帝侯兼ポーランド王のアウグスト強王が磁器の製法の解明を命じ、「マイセン窯」を開窯した。以降、時代の変遷とともに、常に最先端の美術様式を取り入れながら芸術性と伝統を大切にした作品を作り続けている。
同展では300年にわたる歴史を5つに分け、それぞれの時代を代表する作品約160件を展示する。食器類をはじめ、フィギュリン(小像)、大型の動物彫刻、万国博覧会に出品された大つぼなども。「誕生から現代までのマイセンを通覧できる。これぞマイセン、というものだけではなく知られざるマイセンや、なかなか日本では見られないものも多い」と同館学芸員の稲村純子さん。
同展にはドイツの国立磁器マイセン美術館が全面協力した。3月6日までは東京・サントリー美術館で開催、その後、全国を巡回している。「震災後、開催について心配もあったが、マイセン美術館の方から『こういうときだからこそ』と言ってもらった」(稲村さん)。同館でも免震台など万全の対策を施して展示する。
16日には「古典四重奏団によるレクチャー付きコンサート」が行われた。ドイツにちなみ、ベートーヴェンやバルトークの楽曲を披露。集まった約100人がゆったりと耳を傾けた。期間中は同館内のレストラン「ビストロ・サンチーム」がマイセンの食器でケーキセットを提供するほか、さまざまな関連イベントを予定。24日には、同展を監修した美術工芸史家の池田まゆみさんによる記念講演会が行われる。
開館時間は9時~17時。入場料は、大人=1,000円、大学生、高校生、70歳以上の松本市民=600円、中学生以下無料。月曜休館(5月2日は開館)。6月12日まで。4月21日・5月1日は無料開放日。期間中は同館学芸員による「ギャラリートーク」も予定している。