旅をしながら自前の「テント劇場」で公演をする劇団「どくんご」が6月18日・19日、松本市の平瀬緑地公園(松本市島内)で「ただちに犬Bitter」の公演を行った。
同公園内に設置された組み立て式の「テント劇場」は屋台のような外観。舞台の天井にはキラキラ光るモビールやビニールの花などを飾り、不思議な雰囲気を漂わせた役者たちがグッズ販売や案内などを行い客を迎え入れた。
19時30分、舞台に役者たちが登場し、ギターやクラリネット、おもちゃの鉄琴、オリジナル楽器などを使った演奏で演目がスタート。物語は、舞台中央に横たわる「犬」を核にして、現在と過去の出来事を行き来しながら展開していく。ストーリーが進むにつれて、役者によって天井の飾りや幕などが少しずつ取り除かれ、次第に舞台は奥に広がる公園が見える状態に。役者たちは「テント劇場」を飛び出し、屋外でも演技を繰り広げた。観客の服装や犬に付いた虫をせりふに入れるなどのアドリブを加えたり、女性アイドルグループのダンスを披露したりするなどして客席を沸かせ、2時間ほどの公演を終えた。
公演後、舞台はそのまま打ち上げ会場となり、役者は観客と交流を深めた。大町市から来た女性は「何度か来たことがある。今回も面白かった」と笑顔で話した。
同劇団は1983(昭和58)年に埼玉大学・衛生短期大学演劇研究会として発足。1988(昭和63)年からテントでの全国旅公演を行っている。今回のツアーは昨年行われた「ただちに犬Deluxe」の「進化版」。「『Deluxe』の雰囲気と格は変えずに、役者やせりふを変えた。せりふが変わると流れも変わるので、昨年見た人も楽しんでもらえると思って」と松本市出身の劇団員・まほさん(38)。今年入団した2Bさん(27)は「『どくんご』の舞台は、親に連れられて小さいころからよく見ていたので、演劇は『旅をするもの』だと思っていた。だから入団には抵抗がなかった。大変だが楽しい」と語る。
5月から始まった今回のツアーは、全国約30カ所での公演を予定している。