松本市の瑞松寺(ずいしょうじ)境内にある喫茶店「半杓亭(はんしゃくてい)」(松本市中央3、TEL 0263-33-6187)で3月27日、「やつはみ喫茶読書会」が行われた。
「お茶を飲みながら本について楽しく話せる場にしたい」と市内の書店スタッフ・ツキモトケンゴさんが企画した。初開催となる今回の題材には、森見登美彦さんの小説「夜は短し歩けよ乙女」を選んだ。
当日はツキモトさんがホスト役を務め、まずは自己紹介からスタート。著者が好きで何冊も読んでいる人、読書好きだが同書はまだ途中までしか読んでいない人、読書会に初めて参加する人など、さまざまな10人が集まった。
最初は緊張気味だった参加者も少しずつ話に加わり、穏やかな雰囲気に。印象に残ったシーンやせりふ、主人公の「先輩」やヒロインの「黒髪の乙女」についてどう思うかなどを話した。同書に出てくる喫茶店や居酒屋が京都に実在しているという話題が出ると、「それは知らなかった」「ぜひ行ってみたい」などの声が。後半は「マジックリアリズム」など、表現技法についても語られた。最後はツキモトさんから次回開催のテーマについてアンケートがあり、本のジャンルや具体的な書名などが挙げられた。
「学生のときは本や映画について話す機会があったが、卒業してからはあまり同世代の人たちとこうした交流がなかったので企画した」とツキモトさん。昨年8月、伊那市で行われた「高遠ブックフェスフェスティバル」にスタッフとして参加したときに同店の高石店長と知り合いに。今年に入り、企画について話すと快諾してくれたという。「松本ではこうした読書会があまりなくて寂しいなと思っていたので」と高石さん。同店では隔月で朗読会を開催しており、「朗読会と読書会が交代で開催できるようになれば」と支援する。
「皆さんとは初対面だったが、楽しく話せて良かった」とツキモトさん。「題材を選ぶのは難しいが、今後も続けていきたいと思っている。いろいろな人に来てもらえるような会にしていければ」とも。