松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-3400)で現在、バラの絵画を集めた企画展「薔薇(バラ)空間-宮廷画家ルドゥーテとバラに魅せられた人々」が開催されている。
ベルギーの植物画家ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテの「バラ図譜」に収められている表紙を含めた作品全170点をメーンに展示する同展。同書はフランス革命の動乱期にマリー・アントワネットやナポレオン皇妃ジョゼフィーヌに宮廷画家として仕えたルドゥーテが、ジョゼフィーヌが収集したバラを銅版画にしてまとめたもので、ボタニカル・アート(植物細密画)の金字塔とされている。このほか、バラの研究家エレン・ウィルモットの著作「バラ属」に収められたアルフレッド・パーソンズのリトグラフ40点と、写真家・斉門富士男さんの写真48点も展示する。
「香り、音、家具など、作品以外でもバラ空間を演出した」と同館学芸員の稲村純子さん。同展では、ルドゥーテが唯一表現できなかったという「香り」も感じてもらえるようにと会場内に4種類のバラの香りを散布。BGMにはモーツァルトを流し、休憩用のいすなどもアンティーク調のものをそろえた。
7日にはパフューマリー・ケミストの蓬田勝之さんを迎えて講演会「バラの香りで広がる世界」が行われた。同展の香りの演出を監修した蓬田さんは、世界で初めてバラの香りを7タイプに分類した香料分析のエキスパート。講演会では香りのサンプルが配られ、香りが人の心理に与えるストレス緩和などの研究「アロマコロジー」について紹介。70人ほどの参加者たちはメモを取りながら熱心に聞き入っていた。
「展示を目で見るだけではなく、音楽、香り、味覚、体験…といった五感で楽しめるように講演会やワークショップなどを企画した」と稲村さん。今後もコンサートやワークショップなどを予定している。「本当に『バラ一色』の展覧会。ルドゥーテは植物画の最高傑作とも呼ばれていて、やわらかさや美しさを表現している。ルドゥーテの作品をまとめて見られることはめったにないので、ぜひ足を運んでもらえれば」とも。
開館時間は9時~17時。入場料は、大人=1,000円、大学生、高校生、70歳以上の松本市民=600円、中学生以下は無料。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日)。4月4日まで。14日はホワイトデー企画で女性の入場料が無料になる。