まつもと市民芸術館(松本市深志3)の舞踊部門芸術監督・倉田翠さんが構成・演出を手がけるダンス公演「娑婆(しゃば) 身体表現クラブ」が4月18日・19日、同館小ホールで行われる。
倉田さんは2024年から松本少年刑務所(桐3)で月1回1時間ほど、男性受刑者を対象にワークショップ「身体表現クラブ」を担当。一年を通じて、身体を意識して思考し、表現する活動を行い、最後は発表会を開いた。
倉田さんは2024年4月に芸術監督に就任。これまでアーティストだけではなく、さまざまな人たちと作品作りに取り組んできた経験を生かし、「松本という地域と自身の作家性を結び付けるような活動ができれば」と考えていたという。同刑務所は国内で唯一、教育機関である公立中学校があり、「何かできないか」と相談したところ、クラブを担当する提案を受けた。
2年間で、「許すとか許さないとか、正しさとは何なのかとか、さまざまな問いを得た」と倉田さん。講師を始めた当初から、何らかの形で作品にしたいと思っていたという。「彼らと出会ったことを、社会にどうやって提示できるか。舞台を介して、その間に立つような仕事をしたい」と話す。
倉田さんと共に出演するのは、中條玲さん、西田悠哉さん、花形槙さん、堀田康平さん、前田斜めさん。全員初共演で、「出演作を見て、『自分はこうだ』という考えを持っていると感じた人を選んだ」という。共演者も皆、刑務所でのクラブ活動を見学して、作品作りに挑む。
28日に同館で行われた稽古は、何気ない会話を交わしながらのウオーミングアップから始まった。徐々にゆっくりとした動きへ移る中で、倉田さんが「表面は静かに、内側の運動量を感じて」「体のエネルギー量は高く保って、静かに動く」と声をかける。出演者は棒を持ったり声を発したりしながら、試すように動きを重ねていった。
「受刑者を演じるわけではないし、分かりやすい物語や展開があるわけでもない。見た人自身が『これは何だ?』と考えたり、自分のことを思ったりする仕掛けをつくりたい」と倉田さん。10日にはプレトークイベントも開催。同館芸術監督団・団長の木ノ下裕一さんと対談し、作品について解き明かす。「世の中にはたくさんの『線引き』がある。普段あまり意識しない『線』について考える時間になれば」とも。
両日14時開演。料金は一般=2,000円、U25=1,000円。プレトークイベントは10日19時。入場無料。事前申込制。問い合わせは同館チケットセンター(TEL 0263-33-2200)まで。