松本から世界を目指すダンス人材育成プログラム「Step into the world from Matsumoto(Step M)」で創作活動を行っているダンス作家3人による試演会が12月13日・14日、まつもと市民芸術館(松本市深志3)で行われた。
同プログラムは、「文化施設による高付加価値化機能強化支援事業」の一環。同館舞踊部門芸術監督の倉田翠さんと共に新しい作品を作り出し、グローバルに活躍するダンス作家と制作者を育成する。今年1月から、ダンス作家3人とアートコーディネーター1人が、来年以降に上演する作品の制作に取り組んでいる。
13日に行った試演会では、倉田さんが「今日は途中経過を見ていただく場」とあいさつし、3人が松本で滞在制作を行っていることに触れ、「町で見かけたら声をかけてほしい」と呼びかけた。
宮悠介さんの作品は、肌や皮膚をテーマにした、「SkinGrounD//掻破//~scratching boarders of the body~」。2つのモニターと4つの姿見をステージに用意し、観客がぐるりと周りを囲んだ。途中でカーテンが開いて外光が差し込み、終盤は無音の中で、パフォーマンスを行った。
女屋理音さんは、滞在制作をする中で、山々に囲まれた松本の景色や空気をイメージした作品「雪嶺(せつれい)」を披露。机と1つの照明から始まり、徐々にステージを広く使ったダイナミックなダンスを展開していった。
櫻井拓斗さんは、ネットを通じて拡散していく情報をモチーフに、「不快な居場所脱出装置の発明」と題した作品を上演。3人のダンサーが、時には動きをなぞりながら身体表現を重ね、交わったりすれ違ったりしながら舞台上を行き来した。
今後は、試演会での感想や意見を踏まえ、来年の公演に向けて作品を磨き上げていくという。ウェブサイトでは、自己紹介や松本での滞在制作の様子を育成者自らがつづっている。同館担当者は「制作に取り組んでいる様子や思いについても知ってもらい、これからも地域の皆さんに応援してもらえれば」と話す。