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松本駅前「井上百貨店」が閉店 「まちのデパート」45年の歴史に幕

閉店セレモニーの様子

閉店セレモニーの様子

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 松本市の百貨店「井上本店」(深志2)が3月31日、閉店した。

あいさつする井上裕社長

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 当日は開店時から先着500人に紅白まんじゅうを配布。入り口には400人が列をつくるなど、多くの人でにぎわった。店内では、店員にあいさつしに訪れる常連客の姿も多く見られた。1階正面の入り口には、利用客から寄せられたメッセージカードで作成したモザイクアートを設置。5階では、モザイクアートに入りきらなかったメッセージカードや、歴史を振り返る写真を展示した。

 井上は1885(明治18)年、六九町で井上呉服店として創業。1950(昭和25)には会社組織を設立し、1979(昭和54)年に現在の場所に移転した。昨年4月、本店の営業を3月末に終了することを発表。百貨店機能は山形村の商業施設「アイシティ21」に統合する。4月12日には、以前、別館としてインテリアショップ「イノウエ アネックスホームズ」として使っていた松本ノーサンパーキングビル1階に、婦人服や学生服などを扱う「井上サテライトプラス」を出店する。

 18時45分からは閉店セレモニーが行われた。上嶋保本店長はこの1週間、常連客をはじめ、先輩、後輩社員など多くの人との再会があったといい、「皆さんにお世話になってここまでやってきた」と感謝した。その後、スズキ・メソード松本支部の生徒らが「蛍の光」に続けて、同店のテーマソング「メロディーフェアへようこそ」を演奏した。

 井上裕社長は「良い時も厳しかった時も、全て地域のお客さまに支えられ、井上呉服店から井上商店、そして井上百貨店と時代に合わせて変化をしてきた」と振り返り、時おり言葉を詰まらせながら、「長い歴史の多くの思い出の中に、今日の閉店も記憶として残してほしい」と呼びかけた。

 「長い間、松本駅前本店、応援していただいてありがとうございます」とのあいさつに、集まった人たちからは「ありがとう」との声や大きな拍手が送られた。「泣くなよ!」との声には、井上社長が「泣いていません!」と応じ、会場では温かい笑いが起こった。

 最後は井上社長が「明日からはアイシティ21でお会いしましょう」と締めくくり、扉の内側にスタッフと共に並ぶと、「井上本店、長い間本当にありがとうございました」の声と共に、ゆっくりとシャッターが下ろされた。

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