
北アルプス地域の林業関係者や木工作家、建築士らでつくる団体「北アルプス 森とつながる暮らし案内所(もりとくら)」の出張展示が現在、安曇野市のドーナツ専門店「HOW DOUGHNUTS(ハウドーナツ)」(安曇野市穂高有明)で開催されている。
メンバーの木工作家が、北アルプス材を使って制作したアイテムも
同団体は昨年4月に発足。代表の「solnte(ソルンテ)shimada-kagu」(松川村)の嶋田ふみさんは「北アルプス材を暮らしに取り入れることで、身近な森に関心を持ってほしい」と話す。
オリジナルで制作している「北アルプスの森から生まれたシリーズ」は、暮らしに取り入れやすいようにと、シンプルにデザイン。角皿、コースターをはじめ、紙やすりや仕上げのクリームが入った「自分で仕上げるバターナイフとミニヘラのキット」などもある。
ほかに、メンバーの木工作家が、北アルプス材を使って制作したアイテムも。「大久保ハウス木工舎」(松本市)の木のへら、「木工ヤマニ」(大町市)のミル、「工房ぐるり」(同)のプレート、「Lady of the Wood」(同)のアクセサリー、「ソルンテ」のティッシュ箱などを並べる。企業組合山仕事創造舎が手がける「北アルプスの経木」や木材も用意する。
嶋田さんは2009(平成21)年、夫婦2人で松本・奈川に工房を構え、2017(平成29)年に松川村に移転した。地元の木材の活用について、時々相談を受けることもあったが、自身で使うことはほとんどなかったという。「これまでは木材の性質が適しているかどうかを重視していた」と振り返る。県北アルプス地域振興局が2021年度、地域材活用に向けた円卓会議を開始。林業従事者や建築家、木工作家など、幅広い分野のメンバーが話し合う中で、「木を植え、育て、伐採して製材する山側のことだけではなく、作り手や使い手のところまで含めて情報発信することで、良い循環を生み出したい」と団体を立ち上げた。
「案内所」という名前には、北アルプス材のことを知りたい人や、何かを始めたいという人がまずコンタクトを取れるようにという思いを込めた。昨年11月、「ソルンテ」の一角で展示販売を始め、今回が初の出張企画。「興味関心を持っている人は多く、活動を知ることで選んでくれる人も増えると思う」と嶋田さん。今後はオリジナルアイテムの充実を図り、いずれは北アルプス材の流通にもつなげたいという。「北アルプス材の活用で森づくりに貢献し、循環する仕組みをつくっていきたい」とも。
営業時間は10時30分~16時。土曜・日曜・祝日定休。2月28日まで。