トークイベント「地域に広がるカルチャーをつくる ~松本PARCOが与えてきたもの~」が8月20日、松本パルコ(松本市中央1)で行われた。
塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」が「パルコのスナバ」として期間限定で出店し、コワーキングスペースや同拠点が手がけるプログラムの説明会やワークショップを開催。同イベントもその一環として企画した。
当日は、同店の斉藤博一店長、松本市出身の写真家・MARCOさんを迎え、同拠点運営チームの塩尻市振興公社シニアマネジャー・三枝大祐さんがファシリテーターを務めた。10人の参加者は、松本周辺に住んでいる人や、帰省中の学生、MARCOさんの友人などさまざま。車座になり、互いにパルコの思い出やイメージなどを共有しながら、和やかに進行した。
18歳まで松本で暮らしていたというMARCOさんは「中高生の頃、地下の書店で雑誌や写真集を見て興奮した感覚を今でも思い出せる。私の中では、カルチャー=パルコ」と話した。書店やCDショップでの思い出や、開業当初にあった噴水、近くにあった「ミスタードーナツ」や「文具の遠兵(えんひょう)」のエピソードにうなずく人も多く見られた。
斉藤店長は、オープンの経緯や当時のコンセプトを紹介。「当時は偶然何かと出合える『ノイズ』のような仕掛けがあちこちにあった」と振り返った。あらためて閉店を惜しむ声には、「物を通じて人が集まる場所という一つの役割は終えようとしているが、今日のように『体験を持ち帰る』ことが役割になるのかもしれない。残り半年、振り返るだけではなく新しい芽が生まれるようなことができれば」と力を込めた。
「パルコのスナバ」は今後、8月26日、28日にコワーキングスペースを設置(10時~17時)するほか、来月以降もイベントを企画しているという。三枝さんは「地域でカルチャーを育むことについて、40年間実践してきた松本パルコの変遷を知る機会になった。スナバがビジョンに掲げる『生きたいまちを、共に創る』に向けて、これからも試したり、形にしたりする環境をつくっていきたい」と話す。