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松本のギャラリーで磯江毅展 日本初公開含め7作品、「絵画の厚み感じて」

板に描かれた油彩3点

板に描かれた油彩3点

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 画家・磯江毅の企画展が現在、松本・筑摩の「ギャラリー石榴(せきりゅう)」(松本市筑摩2、TEL 0263-27-5396)で開催されている。

ドローイング3点

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 磯江毅(1954~2007)は大阪府生まれ。19歳でスペイン・マドリードに渡り、王立美術学校でデッサンの基礎を学んだ。徹底した観察で、細部まで深く描き込むことを特徴とするマドリード・リアリズムと呼ばれる潮流の中、由緒ある公募展での受賞をきっかけに注目を集め、「グスタボ・イソエ」として国内外で高い評価を受けるようになった。1996(平成8)年から活動の場を日本にも広げ、1998(平成10)年に東京芸術大学美術部非常勤講師、2005(平成17)年に広島市立大学芸術学部教授に就任。後進の育成と自らの画業半ば53歳で急逝した。

 同展では、油彩、ドローイング、版画、計7作品を展示する。油彩3点はいずれも板に描かれており、そのうち1点はアクリル板がなく、筆のタッチなど細部まで直接見ることができる。ドローイングは鉛筆で描いた裸像2点と、鉛筆、色鉛筆、水彩、クレヨンを用いた「自画像」。スペインで本格的に作品の発表を始めた20代半ばに描かれたものだという。同ギャラリーの薄井みゆきさんは「磯江さんの作品は、リアリズム作家として『写真のようにうまい』のさらに先にある。物がまとう空気も表現していて、絵が澄み渡っていくような印象を受ける」と話す。

 みゆきさんの父で、同ギャラリーを開いた宏彦さんは、自身で写実絵画を描いており、リアリズム作家とも交流があったという。「磯江さんとは、勉強会で一言二言交わしたことがあると聞いていて、父にとっては『雲の上の人』。展示を知ったら亡くなった父も驚くと思う」。今回、スペインにあった作品を扱う機会を得て、同展が実現した。

 3月23日には、古くから磯江と交流がある画家・諏訪敦さんを迎えて、画業の一端を振り返るトークイベントも予定する。みゆきさんは「実物の前に立つと、物が発するオーラを時間をかけて表現していることを感じられるはず。絵に興味がある人、描いている人、そしてこれから描きたいと思っている人にも、『絵画の厚み』を味わう機会になれば」と呼びかける。

 営業時間は10時~18時。月曜・火曜定休。3月31日まで。トークイベントは事前予約制で、申し込みはメールで受け付ける。

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