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松本の「日邦バルブ」が新ブランド「銅屋」 鋳造技術と若手の力で新たな挑戦

「クラウドファンディングの反応も上々でうれしい」と話す(左から)羽多野さん、下見さん、永崎さん

「クラウドファンディングの反応も上々でうれしい」と話す(左から)羽多野さん、下見さん、永崎さん

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 水道給水装置用バルブ専門メーカーの日邦バルブ(松本市)が、鋳造技術を生かして設計・開発する新ブランド「銅屋(あかがねや)」を立ち上げた。

「銅屋」のラインアップ

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 第1弾として開発したのは、ペグ、スキレット、大型ジンギスカン鍋の3種類。ステンレス製のペグは、頭部をわずかに球面状にしてハンマーで打ちやすくし、地中に差し込む部分をアーチ状に、断面を十字にすることで強度を高めた。鋳鉄製のスキレットはハンドルをなくし、軽量化と収納性の向上を図った。直径65センチのジンギスカン鍋は岩見沢鋳物(北海道)とコラボした。

 同社は1883(明治16)年創業。1990年代半ばから、給水設備に重点を置き、マンション・戸建て用メーターユニットなどを開発。近年は、主にホテルなどで使用される戸別減圧弁ユニットなどのプレハブ加工製品や災害対応製品にも力を入れる。

 5年ほど前、市内のメーカーが後継者不足で廃業したのを機に鋳物型製造を内製化。担当する社員が独自技術を磨き、一昨年には「信州の名工」として知事表彰された。昨年、県鋳物工業協同組合に加入。事業継承で悩む企業が多いことを知り、徐々に鋳物型の外販や治具の製造に取り組むようになった。経営管理部次長兼企画課課長の羽多野利勝さんは「課題解決のために、当社のノウハウが役に立つのではないかと考えた」と話す。

 社内でも、住宅着工戸数が減る中で新規事業を模索。キャンプ好きの社員からアウトドア用品の商品化について提案があった。同社で扱う銅、鉄、ステンレスなどの素材を使い、光造形機や3Dプリンターも活用しながら昨年11月に製品が完成した。

 松本工場長の下見正明さんは「市場に出すとなると性能や価格が大事。BtoCビジネスは初の試みということもあり苦労した」と振り返る。PRや販促については若手社員が活躍。積極的にアイデアを出し、SNSの運用やクラウドファンディングにも挑戦することにした。クラウドファンディングの運営会社からは「老舗の新たな挑戦」と評価されたという。「若手社員のモチベーションが上がったこと、製造ラインとは異なる経験ができたことが、一番の成果かもしれない」と笑顔を見せる。

 ブランド名は、創業時の屋号から付けた。市場開拓部部長の永崎伸さんは「140年の歴史と若い人の力、原点に返って古くても良いものを追求したいという思いを込めた」と話す。今後は同ブランドで、鋳物型や治具の受注生産、OEMなどBtoB事業も視野に入れる。「これまで培ってきた技術に、新しい感性を加えたものづくりをしていきたい」とも。

 第1弾商品は現在、クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で販売している。

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