松本市役所に隣接する市近代遺産の旧新家医院(松本市丸の内)をリノベーションした「小さな複合店舗」で現在、コミュニティーカフェスペースや飲食店が順次、営業を始めている。
旧新家医院は木造2階建ての擬洋風建築で、明治末期に開院。その後、新家眼科となったが、近年は空いていたという。松本城北側にあるコミュニティースペース「城町文庫」(開智1)の藤木大介さんが「近代建築を保存・活用していきたい」と昨秋、改修に着手。今年2月、先行して「城町文庫丸の内店」をオープンした。テーブル4席とカウンター5席を備えたスペースと、ワークショップなどに使える個室を設ける。無人で営業しており、セルフレジ形式で料金は1時間=500円、1日=1,000円(いずれも1ドリンク付き)。一日券では開智店の利用もできる。営業時間は9時~23時。
かつて診察室や待合室だったスペースは、区画別にして貸し出し、複合施設にすることにした。「開智店を運営する中で、店を始めたいと思っている人が多いことを知った」と藤木さん。個別に店舗を設けるよりも、協力関係を築きやすく、「労働力のシェアができれば、開業へのハードルが下がる。より多くの人がチャレンジできる場所を作りたかった」とも。
6月29日には、ジューススタンド「yamayama」が開店。店主の山川洋美さんは以前、松本パルコ西側の居酒屋「ナポリ」に勤務し、昼間はバナナジューススタンドとして切り盛りしていた経験を持つ。一昨年に退職した後も、「ジュースを極めたい」と試行錯誤しながらレシピを研究してきた。完熟バナナジュース(M=500円、L=600円)は、チョコレートや抹茶などトッピング(50円)も楽しめる。ほかに、「甘酒スムージー」やクラフトコーラ(以上550円)なども。営業時間は10時~17時、水曜定休。
8月7日には、カヌレ専門店「Cannele de Mimo(ミモ)」がオープン予定。店主の緒形光萌さんは、結婚を機に管理栄養士を辞め、カヌレを作り始めたという。2021年9月に夫婦で松本に移住。出産後、県内のイベントでカヌレを販売するようになった。イベントをきっかけに、藤木さんに声をかけられて開業を決めたという。銅型できれいな形に焼き上げるカヌレ(300円~)は、プレーン、コーヒー、シナモンなど5、6種類を用意する。営業時間は11時~16時。週に3日間ほど平日に限り営業する。
「山川さんに子どもを見てもらうこともある。1人ではないので心強い」と子育てと両立しながら店に立つ緒形さん。山川さんは「お互い、協力しながらやっていきたい。いずれはコミュニティースペースも活用して、イベントなどを開ければ」と意気込む。