10月7日に開館する松本市立博物館(松本市大手3)のエントランスホールの階段で7月21日、松本第一高校の生徒が制作したプロジェクションマッピングの上映が始まった。
プロジェクションマッピングは、松本城や旧開智学校校舎、上高地などの名所をはじめ、「松本てまり」や「松本だるま」などの伝統工芸品や、「ツール・ド・美ヶ原」などのイベントも紹介。色鮮やかに描いた約40枚をつなぎ合わせ、約8分に編集した映像を上映する。
上映は、市および市と昨年9月に包括連携協定を結んだセイコーエプソン(諏訪市)、同校による産学官連携の取り組み。建物が完成してから1年以上設ける展示物の保存に適した環境を整える「枯らし」期間を活用し、期待感の創出につなげる。当初は同社が機器と映像を提供していたが、本年度から授業をサポートしていた同校の生徒にプロジェクションマッピングを制作してもらうことにした。同社ビジュアルプロダクツ事業部の杵淵正さんは「生徒にとっても、作品の発表の場になると考えて提案した」と話す。
制作は、同校美術工芸系統の3年生13人が4月からCGの授業で行った。授業では、「新しい博物館のPRになるように、松本の魅力を発信したい」と生徒たちが市内を巡って考え、スマートフォンやタブレットを使って作画。平面から立体への変換が必要で、位置関係の調整に苦労したという。同部の北林一良さんは「普段は手の中で見ている自分の作品が、大きく映し出され、多くの人に見てもらえることに生徒たちも喜んでいた。いい機会を作れた」と振り返る。
同館はこれまで、学校行事などで見学に訪れる小中学生は多いが、地元の高校生とはあまり接点がなかったという。加藤孝館長は「より幅広い市民とつながれる博物館を目指したい」と話す。通り沿いに設けたウインドーギャラリーでは、地元の伝統工芸品やイベントを紹介。現在は来月開幕する「セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)」の展示を行っている。「目を引くような情報発信を続けていきたい。皆さんに開館を心待ちにしてもらえれば」とも。
投影時間は日没~21時ごろ。9月30日まで。