環境と調和した建築を巡るバスツアー-松本市美術館、JIAと共催

窪田空穂記念館前で説明に聞き入る参加者。同館の三角の屋根は真向かいの生家を模したもの。

窪田空穂記念館前で説明に聞き入る参加者。同館の三角の屋根は真向かいの生家を模したもの。

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 松本市美術館と日本建築家協会(JIA)長野県クラブの共催企画「見つめよう 暮らしの場 ひと、まち、建築」の講座の一環として3月28日、松本市や安曇野市の環境と調和した建築を巡るバスツアーが行われた。

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 同企画は今年2月7日から約2カ月間にわたり、セミナーや講演会、作品展などを行ってきた。締めくくりともなる同ツアーは「その場所の特徴をうまく生かした建物、すてきなたたずまいを感じる民家、環境と調和した建築」5カ所をバスで巡る。「頭で考えるのと実感するのは違う。体験することを組み込みたかった」と同館の大石幹也さんは話す。

 窪田空穂記念館・生家(松本市和田)では、生家見学後、真向かいに建てられた記念館へ。記念館の前では市の職員から「(記念館は生家の)屋根の形を模して作られている。アプローチ部も入館までの期待感を高めるように設計され、素材も土や木など自然素材を使用している」などの説明があり、写真を撮ったりメモを取ったりする参加者の姿が見られた。

 その後、築160年の古民家を改築した「麓庵かつ玄」(島内)で昼食を取り安曇野市へ移動。ミュージアムカフェ「BANANA MOON(バナナムーン)」(安曇野市穂高有明)や彫刻家・飯田善國の作品を展示する「IIDA・KAN」(穂高牧)などを見学した。「新旧織り交ぜた建物を見ることで『味わい』『ウチとソト』『五感で感じる』ということをポイントにした」(大石さん)。

 JIAは20年ほど前から建築祭を開催。3年前からは「市民に開かれた建築祭」を目指してさまざまな企画に取り組んでいた。昨年、美術館と「一緒に何かできないか」という話になり、当時「暮らしの美」というテーマで取り組んでいた同館と考えが一致し、今回の共催にこぎ着けた。「建築家だけではなく、一般の市民の方にも関心を持ってもらえたと思う。今回のツアーもすぐに定員になってしまったほど」(同)。

 「展示室だけではなく、外に出るということが美術館としても大事だと思っている」と大石さん。同館は今後、来月から松本市近郊で開催される工芸イベント「工芸の五月」にも参加する。「自分で見て、聞いて、感じたことを持ち帰ってもらって、明日からの生活に生かせてもらえるような活動をしていきたい」とも。

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