絵本「あんまりすてきだったから」の原画展が現在、松本・元町の書店「本・中川」(松本市元町1、TEL 0263-33-8501)で開催されている。
1通のファンレターから生まれた絵本「あんまりすてきだったから」。店内ではサイン本の販売も
昨年6月に出版した同作は、作家のくどうれいんさんが文を、絵本作家のみやざきひろかずさんが絵を手がけた。主人公「こんちゃん」が聞いた歌声が「あんまりすてきだった」から歌手に手紙を書き、その手紙からさまざまなところへ「すてきな気持ち」が広がっていく物語。「てってこてこ」や「ほわらり」「ほろるにい」など特徴的なオノマトペが出てくる。店主の中川美里さんは「大人も子どもも声に出して読んでみてほしい」と話す。
同展では10点の原画を展示。手紙を運びながら口笛を吹く郵便配達のおじさんや口笛を聞いてうれしくなった魚が飛び跳ねる様子などを水彩で描いた。夜の場面は青系の色をメインに使い、絵の具をにじませて月が優しく照らす場面を表現した。「光が照っている様子を描くのが本当にうまい。優しい色使いなので見ているとほっとする」と中川さん。
みやざきさんは1951(昭和26)年奈良県生まれ。大学卒業後デザイン事務所に勤務していたが、スペインの風刺画家・フェルナンド・ピュイグ・ロサードの「地球家族」に刺激を受けて絵本作りを始めた。主な作品に「ワニくん」シリーズなどがある。同店での展示は初めて。
共作のきっかけは、みやざきさんがまだ幼かったくどうさんからファンレターを受け取り、返事を書いたことだという。2018(平成30)年、作家になったくどうさんから「いつか一緒に絵本を作りたい」と連絡をもらい、ファンレターのことが強く印象に残っていたこともあり、依頼を引き受けた。
今回は感想ノートを置き、座ってゆっくり書けるスペースも設けた。中川さんは「今はSNSを使えば何でもすぐに伝えられる。手紙を書くことは時間がかかるけど、書いたり、返事を待ったりする時間もいとおしいし、文字を通して相手に会える気がする」と笑顔を見せる。展示期間中は絵本を購入した人に便箋を3枚進呈する。「絵本を読んだ後に手紙を書いてもらえれば」とも。
価格は、絵はがき=1,100円、ハンカチ=1,650円、絵本「あんまりすてきだったから」=1,540円。営業時間は12時~18時(金曜・土曜は19時まで)。月曜・火曜定休。3月26日まで。