消費者投票による世界的な評価ガイド「ZAGAT SURVEY(ザガットサーベイ)」の「長野版」が3月19日、発売された。発行元はCHINTAI(東京都港区)。
同書の特徴は、これまでレストランのみだった評価対象に宿泊施設も加えた点で、観光ガイドとしての役割も目指す。投票には5,081人が参加。約75%が長野県民だという「地元の声」が反映された結果になった。
長野県を東西南北のエリアに分け、飲食施設311件、宿泊施設110件を掲載。レストランの料理部門は飯田駅前にあるすし店「いさみ」が、ホテルの部屋部門は山ノ内町の「ホテルグランフェニックス奥志賀」が、それぞれ1位を獲得した。
利用者のアンケートを統計処理して評価を掲載する「ザガットサーベイ」は「アメリカ版ミシュラン」とも呼ばれる。1979年にニューヨークで誕生し、現在は全米を中心に、ロンドン、パリ、トロント、北京など世界89都市をカバー。日本では「東京のレストラン」「大阪・神戸・京都のレストラン」が刊行されているが、地方版としては長野が初となる。
同書の刊行は、県や県経営者協会が「観光振興のために」と呼びかけたことがきっかけ。刊行にあたり「評価対象となる施設数」「参加者の充分な確保」「刊行が事業性を伴うか」などの問題点を同社と県、地元の経済界がタッグを組んでクリアし、実現した。
副編集長の青山純子さんは「宿泊施設のサーベイが初ということもあって苦労した」と振り返る。寄せられた情報が以前のもので、現在は店舗が移転や閉店しているということもあり、地元の人に確認してもらいながら編集を進めたという。
「今まで刊行した大都市圏とは違い、長野は『立地』も利用者にとって評価のポイントになっている。山や川が見えるといった景観も大事なのだと感じた」(青山さん)。現段階では次の刊行の予定は未定だが「本場アメリカでは、地域ごとにザガットがあり、ガイドブック的な役割を果たしている。日本でも地域ごとに広げていくことができれば」と話す。
仕様は200ページ。価格は1,470円。