「マツモト建築芸術祭」が2月4日、開幕した。
「名建築にアートが住み着くマツモトの冬」をテーマに、国内外で活躍する17組のアーティストの作品を国登録有形文化財など19会場に展示する。昨年に続き2回目の開催で、今回は11会場の入場には共通パス(1,000円、中学生以下無料)が必要となる。
「割烹(かっぽう) 松本館」(松本市丸の内)の大広間には、日本画家の福井江太郎さんが墨で描いた高さ3メートル、幅10メートルのダチョウの絵が並ぶ。「かわかみ建築設計室」(大手5)には、今回メインビジュアルを担当した画家・MISSISSIPPI(ミシシッピ)さんの作品を建物内の髄所に飾る。ミシシッピさんは、松本城近くの「コーヒーラウンジ紫陽花(あじさい)」があるビルの壁画にも挑んだ。
六九商店街にある2店舗は、総合プロデューサーを務めるアートディレクター・おおうちおさむさんが視察して使用を交渉。ボランティアが清掃、修繕してよみがえらせた「旧油三洋裁店」(大手2)には、デザイナーの吉本天地さんが展開する「amachi.」の洋服や、その服をまとった様子を写真家のヨーガン・アクセルバルさんが撮影した作品を展示する。食品卸だった「旧高松屋商店」(同)には、一部が石化したような古道具や日用品が並び、古さと新しさが交わるような空間に。大理石を用いた制作をするアーティスト・村松英俊さんは「ものには誰かが使った痕跡が残り、そこに個性が宿る。時を経たものに、さらに悠久の時間を重ねるように作っている」と話す。
2月3日には、会場の一つでもある「上土シネマ」(大手4)で記者発表会が行われ、おおうちさん自らが各会場と作家を紹介。「町がアートでどう変化するか、町の変わりゆく感じを楽しんでもらいたい」と呼びかけた。
2月26日まで。共通パスは、オンラインと「上土シネマ」にあるインフォメーションセンターで販売する。会期中には、参加アーティストによるトークイベントや公開制作なども予定する。