安曇野市の中学生が制作した地域の魅力を発信するフリーペーパー「AZUMO(アズモ)」が3月28日、創刊した。
地元の小中学生とクリエーターが協働し、地域の魅力を紹介する「こどもローカルマガジン(コロマガ)プロジェクト」の安曇野版。創刊号のテーマは「安曇野の水」で、市内の中学1、2年生8人がチームを組み、温泉、拾ケ堰(じっかせぎ)、養殖魚、ワサビ、水辺の生き物、地下水という多彩な題材で6カ所を取材した。拾ケ堰チームは雨の中を自転車で走り、「旬の味ほりがね物産センター」や「丸山鯉店」を訪ねた様子や、「水の大切さが分かるマイナースポット」4カ所を紹介。ワサビのチームはユーチューバーとしても活躍するワサビ農家・黒岩潤一朗さんに話を聞き、ワサビのすりおろし方や、動画配信についての思いなどをまとめた。
地元の編集者、ライター、カメラマンなど7人がサポートクリエーターとして参画。昨年8月から講座を開き、冊子の名前やロゴのデザインから、文章やイラスト、写真での表現方法、編集まで、ノウハウを提供し、共に制作を進めてきた。発起人で編集長の楢畑彩香さんは「8人それぞれ、やりたいことや好きなことがはっきりしていて、情報収集力も高い。ゼロから作ることにお互い不安もあったが、コミュニケーションを重ねることで形になっていった」と振り返る。
コロマガプロジェクトは、東京や静岡、山梨、広島など現在7つの地域で実施。県内では初めてとなる。楢畑さんは山梨・北杜版の「ほくとこ」に携わったことがあり、「子どもたちが取材を通じて、地域のことを楽しみながら深く知ることができる。サポートメンバーが子どもたちと同じ立ち位置で取り組めることも魅力だと思った」。昨年から地元のクリエーターに声をかけ、準備を進めてきた。
3月27日には完成披露会を開催。8人は楽しかったことや苦労したことを挙げながら、「安曇野の素晴らしさを伝えたいという気持ちが高まった」「この経験を将来の夢に生かしたい」などとコメントした。ライターの筒木愛美さんは子どもたちの姿を、「部活との両立や、コロナ禍で制限がある中、大変だったと思うが、大人とは違う視点でいろいろなことを見て、感じてくれた」と話す。
今後は年1回発行予定で、5月には中学生の参加者を募集し、企業や団体、個人の協賛も引き続き募る。楢畑さんは「取材というインプット、冊子にするというアウトプット、両方の力を育むことが大切で、プロジェクトの核になっている。地方でもこういう場がもっと必要だとあらためて感じた。地域の皆さんに応援してもらいながら、取り組みを続けていきたい」と力を込める。
冊子はA4サイズ、20ページ。安曇野市内を中心に中信地域で5000部配布する。