松本市内で「寄り道アートプロジェクト」を展開している信州大学人文学部芸術ワークショップゼミが、松本てまりのインスタレーションや同プロジェクトに関する展示を3月19日~21日、松本・裏町の「はしご横町」(松本市大手4)とその周辺で行う。
同プロジェクトは、学生らが前期の授業で学んだことを基に後期の演習として実施してきた。「松本まちなかアートプロジェクト2021」の一環として、市の博物館や美術館なども協力し、同ゼミの2~4年生約20人が4つのグループに分かれて取り組んでいる。
当日は、伝統品の松本てまりに着目したプロジェクト「松本てまりと街をゆく」が、松本城の東南側にある裏町や上土町周辺でインスタレーションを開催。松本てまりをモチーフにしたオブジェなどを店先や通りに配置し、歩いて楽しむコースを提案する。2年生の齊藤千夏さんは「ルート上だけではなく、いろいろと寄り道もしながら楽しんでもらえれば」と話す。
はしご横丁では、2つの空き店舗を会場に、松本てまりと合わせ4つのプロジェクトを振り返る展示も行う。
複眼で松本を見てもらうことで魅力の再発見を目指す「まつもとをかさねて」プロジェクトでは、ミニ冊子を制作。マップを印刷した厚手のトレーシングペーパーを折り込み、メンバーが撮影した地点と重ね合わせることで、街の全体像が浮かび上がると仕掛けを盛り込んだ。
「くじらの記憶」プロジェクトは、シガマッコウクジラが題材。予定していた骨格モデルに肉付けして想像上の姿を作ってもらうワークショップは中止になったが、特徴的な顎の一部はメンバーで作り上げた。3年生の山田和佳さんは「子どもはもちろん、大人にも興味を持ってもらえると思う。これをきっかけに、四賀化石館にも足を運んでほしい」と話す。
「枠ワク・切り取る・街歩く」プロジェクトは、フェルト製のフレームを用いて写真を撮影することで、「枠を通した新たな世界」を知ってもらう趣向。昨年11月にファッションブランド「amachi.」のデザイナー・吉本天地さんを迎えた講義から着想を得たという。2年生の鳥山倫史さんは「フレームだけで何が違うの?と思うかもしれないが、これだけで見え方は変わる」と話す。先月末には市内の書店や喫茶店、松本パルコで開催していた「パルコde美術館」などにフレームを置いてもらい、SNSではハッシュタグ(検索目印)付きの投稿を呼びかけた。
コロナ禍で思うように活動できない時期もあったが、山田さんは「信大生なら協力しよう、と言ってくれる人も多く、先輩が築いてきたつながりも感じた」と振り返る。齊藤さんは「皆さん温かく接してくれ、こうした展示もできる。恩返しの気持ちも込めて、多くの人に私たちの活動を知ってもらいたい」と意気込む。
※イベントは急きょ、中止になりました。(3月17日22時発表)