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松本・大手に天ぷら専門店「千の音」 天ぷら突き詰め「名人」に

「天ぷらと会話するような気持ちで揚げている」と藤原さん

「天ぷらと会話するような気持ちで揚げている」と藤原さん

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 天ぷら専門店「千の音」(松本市大手4、TEL 0263-32-2877)が松本・大手にオープンして1カ月が過ぎた。

旬のヤングコーンは、ひげも残して揚げる

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 店舗面積は約8坪、席数はカウンターとテーブルで7席。店主の藤原卓矢さんが29歳で独立開業した。店名は、モーリス・ラベルのピアノ組曲「夜のガスパール」第1曲「オンディーヌ」をイメージして、雨音と天ぷらを揚げる音を掛けて付けたという。

 メニューは「天ぷらのためのコース」として食事付きの3コース(上=4,980円、特上=6,500円、最上=8,000円)と、小品と天ぷらのみの「千の音コース」(3,900円)を用意する。仕入れた食材によってだけではなく、油の状態やその日の温度や湿度によって天ぷら衣も調整し、「とにかく良い天ぷらを食べてもらいたい」と藤原さん。米は、市内の農家から玄米で取り寄せて精米したものをじか火で炊いて提供する。

 ドリンクは、ビール、日本酒、焼酎、果実酒、白ワインなどをそろえ、それぞれの特徴をメニューに記した。「日本酒は天ぷらとの相性が良いものを選んだら、西日本のものが多くなった。白ワインは意外に思う方もいるかもしれないが、天ぷらと合う」。昼は、3コース(上=2,000円、特上=3,500円、最上=4,980円)のほか、前日までの予約で「かき揚げ丼」(1,200円)や「天丼」(1,500円)などにも応じる。

 藤原さんが天ぷら職人を志したのは高校3年生の時。「コーヒーが好きだったので最初はお菓子も考えたが、日本人なら日本料理がしっくりくるような気がした」。やるなら一つのことを極めたいと、アルバイトでお金をためては東京へ出向き、さまざまな店を巡って天ぷらの道に進むことを決意した。松本調理師製菓師専門学校に進み、その後は上京して専門店に勤務。「修業という言葉はあまり好きではない。もちろん習ったこともたくさんあるし、尊敬できる先輩もいたが、自分の手を動かし、失敗したことから得た学びが一番大きい」と振り返る。自分で食材を買い、さばき、揚げることで腕を磨き、25歳の頃にはアメリカ大使館で天ぷらを出すほどになった。

 2年前に松本に戻り、開業の準備を進めてきた。「天ぷらは、食材が7分で腕が3分だと思っているが、その3分も大変」と藤原さん。日々、研さんしながら目指すのは「天ぷら名人」だという。「松本で天ぷらなら『千の音』と言ってもらえるような店にしたい」と意気込む。

 営業時間は11時30分~14時(日曜は15時まで)、17時~22時。月曜と、火曜の昼・日曜祝日の夜定休。

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