松本市内の3つの酒蔵が展開する「醸下町(じょうかまち)松本プロジェクト」が8月25日、各店の日本酒をセットにした「松本応援酒」の販売を始めた。
プロジェクトは、「笹井酒造」(松本市島内)の笹井康夫さん、「善哉酒造」(大手5)の根岸則夫さん、「亀田屋酒造店」(島立)の伊藤大治さんの3人の杜氏(とうじ)が「もっと多くの人に松本の酒を知ってもらいたい」と今春、立ち上げた。Zoomやインスタグラムを使ったライブ配信を月1回のペースで行い、作り手ならではの視点で情報を発信している。
「松本応援酒」は、それぞれ地元で契約栽培している酒米を使用。「笹の誉 純米吟醸浜農場」(笹井酒造)はひとごこち、「女鳥羽の泉 純米吟醸」(善哉酒造)は山恵錦、「アルプス正宗 純米大吟醸生貯蔵酒」(亀田屋酒造店)は美山錦で仕込んでいる。「酒米も違うので飲み比べも楽しめると思う。どんなお酒があるのかをまずは知ってもらえれば」と根岸さん。
県酒造組合などで以前から交流があった3人。これまで松本の蔵元同士が協力して何かをすることはあまりなかったが、「日本酒は松本の文化の一つだということを思い出してもらうきっかけにしたい」とプロジェクトを始めた。SNSで発信してみると、次回の配信について聞かれるなど手応えを感じたという。新型コロナウイルスの影響が飲食店、小売店、さらには蔵元まで広がる中、「今だからこそ、作り手である私たちが何か新たな挑戦をしなければならないと感じた。私たちが動くことで、問屋や飲食店なども巻き込んで、ムーブメントをつくっていければ」と笹井さん。
今後も、季節の酒を中心に商品を展開する予定で、秋には第2弾として、ひやおろしなどをセットして販売する。伊藤さんは「日本酒は奥が深い。まずは気軽に試してもらって、興味が湧いたら深みにはまってしまう人が増えていけばうれしい」と話す。
「松本応援酒」は1本300ミリリットル入りの3本セットで2,400円。酒蔵3社のほか、県酒類販売松本支店が協力し、市内の酒販店で販売する。