北アルプスの山小屋が、通常は現地へ行かないと買えない商品を、期間限定でネット販売している。
長野県は6月1日に登山の自粛を解除し、「入山注意報」を発表。北アルプス南部、南アルプス北部、南アルプス南部(塩見岳、赤石岳など)、中央アルプス(千畳敷カール周辺散策路を除く)への入山を控えることと、それ以外の地域は「入山注意」として「5つのお願いを守ってほしい」と呼び掛けている。
新型コロナウイルスの影響で、現在、営業を休止している山小屋も多く、中には今夏の営業を断念したり、まだ決められなかったりしているところもある。登山文化を守ろうと、「#山小屋支援プロジェクト」や「山小屋エイド基金」などクラウドファンディングを立ち上げて支援する輪も広がっている。
営業を休止している宿泊施設では、現地でしか買えないオリジナル商品を購入できるオンラインショップを開設する動きもある。上高地公式ウェブサイトでは、「おうちで上高地」として、各施設の土産物やグッズを購入できるサイトを紹介。上高地が登山口となる「蝶ヶ岳ヒュッテ」や「穂高岳山荘」など、北アルプスの山小屋のオンラインショップも掲載している。
「槍ヶ岳山荘」では、6月5日にオンラインショップを開設。2013(平成25)年から販売している、市内在住の漫画家・鈴木ともこさんとのコラボアイテムや、スタッフバッグ、手拭いなどが購入できる。山荘を経営する槍ヶ岳観光(松本市埋橋1)の穂苅大輔さんは「登山できなくても、グッズで山を思い出してもらえれば」と話す。現地でしか購入できないアイテムの中には、例年夏には欠品してしまうようなものもある。「営業を始めても、自粛をしようと考える人もいるだろうし、いつも通りの販売は難しいと思い、オンライン販売に踏み切ったが、予想以上の動きがある」
槍ヶ岳山荘も加盟する北アルプス山小屋友交会は、7月14日まで営業を休止。15日から営業を予定している。現地に入っているスタッフからは、「雪解けから新緑という、一番いい季節にお客さんに来てもらえないのは残念」という声も届いているという。穂苅さんは「今は『皆さん来てください』と言いづらい状況だが、それでも早く多くの人に見てもらいたい」と話す。