展示やワークショップなどを行う工芸イベント「工芸の五月」が現在、松本市を中心に美術館、博物館、あがたの森公園など約70カ所で開催されている。
毎年5月を「工芸月間」として、市内を中心にギャラリーや美術館、飲食店で工芸にまつわる企画を展開。今年で13回目となる。
ガラスの器具で抽出される水出しコーヒーの展示と喫茶を楽しむ「池上喫水社」(5月6日まで)は、池上邸の蔵(松本市中央3)で開催。蔵周辺の源池地区、暮らしを楽しむ街の使い方を提案・実践している「人場研(まんばけん)」、ガラス作家・田中恭子さん、カフェユニット「L PACK」が生み出す空間で、静けさの中に非日常を演出する。
松本市美術館(中央4)で行われている「異形の宴」(5月6日まで)は、「奏の象(かなでのかたち)」をテーマに県内外の作家、10人が展示。木や鉄、ラタンやファイバーなど、さまざまな素材を用いた幅広い作品が並ぶ。クラフトフェアなどに長年携わり、昨年5月に急逝した諏訪郡富士見町の木工作家・吉田直樹さんの追悼展でもあり、実行委員長の伊藤博敏さんは「音をテーマにした展示を考えたときに吉田さんの存在は欠かせないと思って、体調が回復するのを待っていた」と話す。28日には、会場の一角をステージにしてジャズコンサートを開いた。「吉田さんがいたら、きっと飛び入り参加していたかも」と伊藤さん。
同美術館の情報交流館&子供創作館では、松本の町や日々の暮らしを湧き水や工芸・クラフトと楽しむさまざまな企画を提案する「旅行社みずのさんぽ」とZINE作りなどができる「井戸端プリント」を展開。中庭では、「はぐくむ工芸 子ども椅子展」(5月1日~6日)も。26人の木工作家による子ども椅子、約60脚が並び、アルパの演奏会や子ども向けの「おはなし会」も予定する。
現在、オフィシャルガイドブック(500円)を市内各施設・店舗・ホームページで販売している。「参加ギャラリーでの企画展やイベントもスタートしている。いろいろのぞいてみて、何か自分だけの品を見つけてもらえれば」と呼び掛ける。
5月31日まで。