陶作家、本原玲子さんの個展「陶」が現在、「ギャルリ灰月(かいげつ)」(松本市中央2、TEL 0263-38-0022)で開催されている。10月25日には個展の一環としてワークショップが行われた。
本原さんが同ギャラリーで個展を開催するのは2回目。同ギャラリーオーナーの滝澤充恵さんが、別の作家の家に飾ってあった本原さんの作品を気に入り、本原さんの住む静岡まで足を運んだのがきっかけで出会ったという。
ワークショップでは「100gのキモチ」と題して、100グラムの半磁器の土を使っていろいろなものを作る制作体験を行い、本原さんは、当日集まった8人の参加者に「土を触るのは初めてですか?」などと緊張をほぐすように声をかけてまわり、和やかな雰囲気でスタートした。
「人と土との歴史」の話から始まり、「陶器は、偶然からできあがったものなんです。人類が初めて化学変化を起こしたのが陶芸なんですよ」と本原さんが話すと、参加者は感心した様子で聞き入った。それから「土の仕組み」の説明や、作品を作るうえで気をつけなければならないことの説明を受け、作品制作に取りかかった。
参加者は、小皿、ぐいのみ、陶板、自由作品の計4点を制作。用意された100グラムの土塊3玉を使って作品を作り上げていく。土塊に親指を押し込み、人差し指を添えて厚みを均等に皿状にしていく「基本」から始めたが、薄くなりすぎてしまったり広がってしまって苦戦する人も。どうしてもうまくいかず本原さんに助けを求め、イメージしていた形に近づくと「魔法の手だー!」と歓声も。
最後の課題である自由作品になると、なかなかアイデアが浮かばず制作が停滞。「本当は全部終わったらやろうと思っていたんだけど…」と、急きょワークショップ終了後に予定していたお茶休憩を途中で挟み、談笑してリラックスしたところで制作に戻った。休憩を挟んだ参加者の手はスムーズに動き、実用的な器やオブジェなどさまざまな作品が完成した。
「同じ100グラムなのに、みんなできあがるものが違う。面白い」とお互いの作品を見合い、「『土』は遊び方次第でいろんな楽しみ方ができるもの。これをきっかけに土に触る機会が増えてくれれば」と話し、ワークショップを締めくくった。
今回のワークショップで制作した作品は、本原さんが静岡に持ち帰って焼き上げ、参加者に返却する。自由作品のみ本原さんが預かり、100人分そろったところで展示会を開催する予定。「普通の陶芸教室ではなく、土との付き合い方の第一歩として楽しくやってもらえたらと思って計画した。みんな楽しんでくれたみたいでよかった」と本原さんも満足そうに話す。
営業時間は、日曜・月曜・火曜=11時~18時30分、木曜・金曜・土曜=10時30分~19時。水曜定休。入場無料。11月3日まで。オブジェ(5,250円~)やカップ&ソーサー(5,250円)など約40点の作品を展示する。