活字・組み版・デザインを学ぶ「第1回 松本タイポグラフィセミナー」が3月17日、松本商工会館(松本市中央1)6階601会議室で開催される。
タイポグラフィとは、活字デザインやその適切な選択・配置・組み版など文字を使ったデザイン表現の総称。印刷会社や出版社などでは美しい紙面作りのために必須とされる技芸だが、コンピューターの普及に伴い誰でも気軽にデザイン表現ができるようになるにつれて、重要性が意識されにくくなっている。主催する松本タイポグラフィ研究会の白木隆士さんは「情報発信を担う書き手、デザイナーなどの作り手、そして読み手の三者がノウハウを共有、継承していくことで、より良質な活字文化が発信できる」と話す。
「書物と活字」をテーマに今年は3回のセミナーを予定する。初回は、講師に独自の書体批評で文字の面白さ、奥深さを伝えている文筆家・正木香子さんを迎え、「おいしい文字のチカラ」と題して、漫画や文学に登場するさまざまな文字を例に、「文字の味わい方」を紹介。奥深い書体の世界を楽しみながら、戦後の活字文化を知り、日本語のタイポグラフィについて考える。
昨年初冬に立ち上げた同研究会。メンバーは文字や書体、タイポグラフィに興味がある人や関連する仕事をしている人が中心で、仕事を終えた平日夜や休日に活動を行っている。「都市圏ではセミナーや勉強会も多いが、地方では学ぶ機会が少ない。知識や技術の習得が遅れることは、地方の仕事が都市圏に流出することにもつながっている」と白木さん。「松本は、こういう学びの場を受け入れる気風があると感じている。いずれは地方都市独特の文化を反映させた『松本書体』の開発をして、地域経済に貢献できれば」と意気込む。
初回は、文字や組み版・デザインに興味を持つきっかけとなることを目指している。「デザイナーや文章の編集・組み版に携わる人はもちろん、本好きや文字が好きという人、極端に言えばそういうものに興味がない人でも面白い話が聞けると思う。気軽に参加してもらえれば」と呼び掛ける。
13時開場、13時30分開始。参加費は一般=2,700円、学生=2,200円。申し込みはホームページで受け付ける。締め切りは3月3日。