JR松本駅に設置されている「512色LED発車標」が、2017年度グッドデザイン賞を受賞した。
同発車標は昨年12月、改札・コンコース・ホームなどに10台導入。今年7月~9月に展開した「信州ディスティネーションキャンペーン(信州DC)」に合わせ、広域ルートの拠点となっている同駅で、目的の列車までのよりスムーズな誘導を図るために採用した。
鉄道の駅では、フルカラーやマルチカラーなどさまざまなLEDのデバイスが整備されているが、フルカラーは高機能のためコストが高く、従来のマルチカラーLEDは8色だったため、ターミナル駅などの多路線では色数が足りないなどの課題があった。旅客案内用サインを手掛ける新陽社(東京都港区)が、視認性・可読性が高い表示と、省電力・長寿命という環境への配慮の2点を重視し、LEDメーカーと共に2年ほどかけて開発。同社JR営業部・古谷康博さんは「RGBを制御することで、コストを抑えることに成功した」と話す。
さまざまな利用者を想定し、視認性・可読性の高いLED専用文字を採用。製品化に当たっては、実機を使った目視による色彩の検証を行い、色弱者にも配慮した。LEDユニットに加えて内部コントローラも開発し、メンテナンス性の向上も図った。同発車標の導入は同駅が初めて。「ちょうど製品化のタイミングと重なって提案した。今後、全国でも展開できるよう力を入れていきたい」と古谷さん。
見やすい配色とレイアウトで必要な情報を最小限提示し、先を急ぐ乗客などへの情報伝達の品質を高めている点を評価されての受賞となった。「お客さまからの声を基に、より分かりやすい案内設備を目指して取り入れた。各路線の色と合わせて表示することができるようになり、利便性の向上につながった」とJR東日本長野支社広報室。