6月に入り、松本市内で「日本一周」の文字を掲げる自転車に乗った人を多く見掛ける季節になった。
自転車の後ろの荷台にプレートを付け、「日本一周」や出発した場所と日付、ブログやツイッターアカウントを載せている人も多い。地元の人から「松本城は見た方がいい」と勧められ、城を訪れる「チャリダー」もいるという。
鉄尾竜司さんは5月20日に京都を出発。その後、実家がある舞鶴に5日ほど滞在してからスタートした。旅のきっかけはインターネット動画。「日本には見たことがないもの、食べたことがないものがたくさんあると思った。東日本を自転車で一周した友人もいて、その影響もある」と鉄尾さん。4月末にアルバイトを辞めて、出発に向けて準備を進めてきた。
京都から日本海側を北上し、能登半島を回って富山へ。白川郷を通り、高山から松本へ入った。「能登で雨に降られたのもきつかったが、トンネルが一番つらい」と振り返る。現在、スマホの画面がほぼ見えない状態になっていることが一番の気がかり。今後は、県内を少し回って新潟に向かい、北海道を目指す。「その土地での出会い、食べ物、あとはアニメの聖地巡礼も楽しみ。事故がないように旅を続けていければ」
末次悠さんは4月24日に佐賀を出発。日本海側を走り、京都から内陸に入って琵琶湖を回り、北陸を通って高山から松本へ。途中、乗鞍にも挑戦し、畳平まで登り切ったが、その後体調を崩して発熱。出会った人の家で3日間休ませてもらったという。「ブログを見て声を掛けていただいたり、食べ物をいただいたり、多くの人に助けてもらって、感謝しかない」
小学生のころから「将来は起業したい」という思いを持っていたという末次さん。高校卒業後に2年ほど働いたが、「今のうちに経験しておきたい」と日本一周の旅へ出た。石川県七尾市では、自身も以前、高校卒業後に自転車で日本一周をしたという会社社長からブログを見て連絡があり、会って話をしたという。「本当にかけがえのない、いろいろな出会いがある」。今後は、全都道府県の県庁所在地を目標にしながら、前日にルートを決めて旅を続け、来夏には佐賀に戻る予定。
プレートを見て日本一周を知り、応援してくれる人や「ブログやツイッターを見た」と会いに来てくれる人もいるという。道の駅などで同士と行き合うことも多い。8月の青森・ねぶた祭りには日本一周をしている人たちが集う場もあるといい、2人は「タイミングが合えば参加したい」と話す。