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松本市内の4カ所で「福島の今、未来」展 アートを通じて発信

池上邸の蔵の展示では期間中、本郷さんが在廊を予定する

池上邸の蔵の展示では期間中、本郷さんが在廊を予定する

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 アートを通じて福島の現状、歴史や自然が持つ魅力を発信する「アートで伝える考える 福島の今、未来展」が現在、松本市内4カ所で開催されている。

華道家・片桐功敦さんの作品「Sacrifice」

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 池上邸の蔵(松本市中央3)では、「福島写真美術館プロジェクト」として2作家の作品を展示する。大町市在住の写真家・本郷毅史さんの「水源域・福島」は、福島を代表する河川の水源をたどった写真・映像作品。本郷さんは2007年から日本各地の河川をさかのぼり、写真と映像を撮影している。「深い森がある水源域は、福島もほかの地域と変わらないが、いろいろと考えるところはある」と本郷さん。「水の流れは刻々と変わるが、長い時間変わらないようにも見える。山深いところの光景を見てもらえれば」と話す。

 華道家・片桐功敦さんの作品「Sacrifice」は、南相馬市に滞在しながら、津波や原発事故被害の影響を植物の姿を通して問い掛けるもの。海岸で撮影したものや、同市博物館の収蔵品を花器としたものなどを展示する。「自分の作品と片桐さんの作品が並び、水源域に花を手向けているようにも、花に水を与えているようにも感じる」と本郷さん。

 アートギャラリー&カフェ「awai art center(アワイアートセンター)」(深志3)では、現代美術家・岡部昌生さんの「フロッタージュプロジェクト」を展開。1977(昭和52)年からフロッタージュ(擦り出し)という手法を用いて表現を続ける岡部さんは飯館村で、除染作業のために伐採されたイグネ(屋敷林)の切り株の連作に取り組んだ。「四方を囲んで展示することで屋敷林を思わせる空間になった」と店主の茂原奈保子さん。岡部さんが持ち込んだ約100冊の書籍も合わせて展示する。

 文化芸術の力により復興を後押ししようと2012年にスタートした「はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」。被災地・被災者に寄り添うことから始めた活動は、震災と原発事故がもたらした変化を芸術の視点で記録するようになった。震災の記憶・被災地への関心が失われつつある中、昨年からは成果展として県内外での展示を行っている。県内では昨夏、大町市の開催に続いて2回目。震災後に多くの子どもたちを疎開先として受け入れてきたことなどもあり、開催を決めたという。

 蔵シック館(中央2)と信州大学付属図書館中央図書館(旭3)でも作品を展示する。「各会場を回って、全体を感じてほしい。アートの力、作品そのものの力を見てもらえれば」と茂原さん。

 蔵シック館の展示は16日まで。ほか3カ所は23日まで。入場無料。開催時間は会場によって異なる。23日には同ギャラリーで映像上映(13時~15時)、同蔵でクロストークイベント(15時30分~18時)を行う。問い合わせは同ギャラリー(TEL 090-2427-4374)まで。

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