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松本・浅間温泉で山梨の写真家が個展 「そのもの自身が放つ光」表現

20年前に撮ったものもあれば、先月末に撮ったものもあるという

20年前に撮ったものもあれば、先月末に撮ったものもあるという

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 松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、 TEL 0263-46-2066)で現在、写真家・小嶋三樹さんの個展「閑寂幽玄」が開催されている。

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 小嶋さんは1957(昭和32)年神奈川県逗子市生まれ。創形美術学校版画科、東京写真専門学校商業写真家を卒業した後、フリーカメラマンとして独立。1995年に山梨県南巨摩郡増穂町(現・富士川町)に暗室と工房を構えて創作活動を行っている。

 同展では、約100点のモノクロ写真を展示する。映し出されているのはさまざまな滝。水の流れが白く浮き上がり、周りの風景は暗く沈むが、「そのもの自身が放つ光を表現している。闇の中にも奥行きがあり、暗さの中の影を追求することで、光の部分が際立つ」と小嶋さん。撮影は滝そのものが目的ではなく、目の前の風景と向かい合うことに集中する。「できるだけ無心で、光の届かない深く、広く、濃い闇の中を見つめ続ける。わずかな音に耳を澄ませ、石や岩、風に揺れている木の葉の動きや水の流れなどに、何物かを見て取るように努める」

 作品は3サイズの額装のほか、掛け軸やロールタイプに仕上げた大型のものも用意。和紙を使うことでモノクロに深みを持たせ、「余白が1ミリ違うと、印象も違う」と額装も自ら手掛ける。

 「最初は写真に見えず、版画か水彩画だと思った」と同ギャラリーの瀧沢一以さん。山梨によく足を運んでいたという2年前に小嶋さんの作品と出合い、交流が始まった。小嶋さんも同ギャラリーを訪れ、「この雰囲気を生かした、面白い展示ができるのではないか」と感じたという。同ギャラリーにとって、写真作品の個展は初の試み。ロールタイプの作品は同ギャラリーに合わせて制作した。「並ぶと迫力もあるし、外から入る光の加減で見え方も変わって面白い。平面作品はある意味挑戦だったが、いい空間ができたと思う」と瀧沢さん。

 「一般的な写真の認識は、アートとして考えると視野が狭いように思う」と小嶋さん。「もっと表現できる術があることを伝えたい」と、2010年から「こころWAKUWAKU写真塾・写真教室」を主宰。期間中は浅間温泉内を撮影してプリントアウトするワークショップも開く。「その人しかできない表現があるはず。写真は撮って終わりじゃない、と知るきっかけになれば」

 作品は全て販売する。額装=1万2,000円~、ロールタイプ=15万円~など。営業時間は10時~18時。木曜・金曜定休(7月16日は臨時休業)。7月31日まで。ワークショップは初心者向け=同9日9時~、中級者向け=同10日9時~、14時~。参加費は各回3,000円、要予約。在廊時は相談も受け付ける。

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