松本・中山に7月26日、ギャラリー「sen(せん)」(松本市中山)がオープンした。
木工作家・大久保公太郎さんの工房「大久保ハウス木工舎」(同)の隣にあった築150年近くの古民家をリノベーション。同工房のショールーム兼生活回りの「もの・こと」を扱う店として、妻の修子さんが切り盛りする。
4つあった8畳の部屋のうち、2つをギャラリーとして使用。同工房の木製カトラリーやプレートなどの小物をはじめ、椅子などの家具も展示販売する。ヤスリを使わずにカンナで仕上げるカトラリーは、ゆったりとした曲線が特徴。ほかに、宮崎匠さん(陶器)、小林正則さん(ガラス)、酒井邦芳さん(漆)、修子さんが縫製で参加するユニット「カナイズ」(布物)など県内で活動するクラフト作家の作品も並ぶ。
大久保さん夫婦は京都で出会い、2011年に木曽へ移住。公太郎さんは1年間、上松技術専門校で学び、その後自身が育った松本に戻り工房を構えた。長い間、空き家になっていた古民家を「使ってみれば」と近所の住民に勧められ、2年かけて少しずつ改修。塗り直すために土壁を剥がすと、竹小舞ではなく葦(あし)が現れたという。「諏訪地域では葦を使っていたところも多いと知った。もともと養蚕をしていた家だったようで、繁盛を願って書いた紙も出てきた」と修子さん。塗り直す際には新たに願いを書いた紙を入れ、一部分は塗らずにそのまま残した。
ギャラリー名は、同地区の「千石」から一字取って付けた。「単なる売り手と買い手の関係ではなく、ここに携わった人たち同士がつながり、何かが生まれるような場にしたい」と修子さん。夜景を楽しんでもらえるように営業時間を延長する「夜sen」や、ヨガなどのイベントも開く。「今後はワークショップやライブなども企画できれば。いろいろな人に使ってもらいながら、よりよい場にしていきたい」とも。
営業時間は11時~18時。火曜・木曜・金曜定休。