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安曇野で「あの世」テーマの美術展 女性美術家2人が不思議な空間生み出す

階段の先には2人の作品が生み出す不思議な空間が

階段の先には2人の作品が生み出す不思議な空間が

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 安曇野のカフェギャラリー「BANANA MOON(バナナムーン)」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-8838)で現在、造形作家・井坂奈津子さんと美術家・小口緑子さんの2人展「あのよにみいる」が開催されている。

作品が並ぶ階段

 「あの世」をテーマにした同展。ギャラリー内には一面に紙が張り巡らされ、井坂さんが「いつかいた女の子」をイメージして制作した作品が床に置かれている。紙はさまざまな時代・国の新聞紙に輪転機で般若心経を印刷したもの。ギャラリーに通じる階段にも、井坂さんの作品が並ぶ。「ずっと『あの世』に興味を持っている。ネガティブなイメージではなく、今いる場所から新しい見方や表現ができればと思っていた」と企画した相澤和典さん。作家同士は面識がなかったが、相澤さんがそれぞれに依頼した。

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 井坂さんは東京在住。作品集を見た相澤さんから熱い思いがこもったメールが届いたという。自分以外の人が決めたテーマでの制作も、2人展も井坂さんにとっては初の取り組み。今年2月、茅野市で行われた小口さんの個展に足を運び、「小口さんは空間をつくり上げると感じたので、その中に入れるような作品を作ろうと思った」と井坂さん。諏訪大社も訪れ、「この世ではない、神様の気配を感じた」と振り返る。作品は紙粘土に色鉛筆で着色。スカートのように見える瓶の中には、ビー玉を入れた。「今はここにいるが、いつかはいなくなる。自分もそうなるという思いがある」

 「すみれ洋裁店」(諏訪市)を営む小口さんは、相澤さんが代表を務める「ごっこ社」のメンバーでもある。「昨年から個展が続き、今年も積極的に活動しようと思っていた矢先だったのと、相澤さんとならきっと面白いと思い引き受けた」。印刷した紙は、文字が切り抜かれたりスタンプが押されたりしている。「東京へ向かうときに見た明かりのついたビルの窓を思い出した。一つ一つの小さな四角が、人が住んでいる、生きていることだと思った」と小口さん。「新聞紙だけど美しい。灰色だけどカラフル。きれいではないものがきれいに見えるということが、この社会のように感じた」

 お互いの作品を見たのは、同展が始まる前日の搬入時。短時間で空間をつくり上げた。「並べた段階でいい世界ができたと思った。あの世とこの世の中間地点というか、階段でその間を行き来するような雰囲気になった」(小口さん)。「インスタレーションはその場も含めて楽しめるもの。一緒にできて良かった」(井坂さん)。

 営業時間は9時30分~17時。入館料は500円(1ドリンク付き)。水曜定休。6月9日まで。

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