
「信州・まつもと大歌舞伎」が7月20日に開幕し、出演者らが中心市街地を練り歩く「登城行列」が行われた。
開催は2年ぶり4回目。「チケットを取れた人も取れなかった人も楽しめるように」と企画された同行列も4回目となる。今回の演目は幕末の混沌(こんとん)として退廃的な世相を描く「三人吉三(さんにんきちさ)」。出演する中村勘九郎さん、中村七之助さん、尾上松也さん、演出を手掛けるまつもと市民芸術館芸術監督・串田和美さんらが人力車に乗って登場し、市民ら約4万6800人が熱い声援を送った。
みこしや舞台が先導し、行列は松本郵便局前を出発。沿道に詰め掛けた市民からは「中村屋!」などの屋号や「お帰りなさい」「待ってました」などの声が飛び交い、出演者らは笑顔で手を振って応えた。
松本城へ向かう行列の後に付いて市民たちも移動。本丸庭園特設ステージでは、「松本城市民ふれあい座」が続けて行われた。まずは串田さんが「松本の皆さん、遠くからお越しの皆さん、そして勘三郎さん、ありがとう」とあいさつ。その後、出演者がステージに並び一言ずつコメントした。
「松本最高!」と声を上げた勘九郎さんは、雨予報が出ていた天候について、「この(晴れの)天気は父ちゃんのおかげ。父が愛した松本の地、今日の天気は父からもらったプレゼント」と話し、「8日間、命がけでやれというメッセージだと思う」と力を込めた。「ただいま帰りました。『お帰りなさい』の声に涙が出ます」と七之助さん。「今日は(行列が)城に向かっていったので気分も良かった(笑)」と話した。初めて出演する尾上さんは「(共演者から)松本は良いところだとずっと聞いていた。本当にこの歓迎ムード、最高です。『ようこそ』と声を掛けてもらったので、今度は『お帰り』と言ってもらえるよう、精いっぱい務めたい」と意気込んだ。
公演は今月25日まで、まつもと市民芸術館(松本市深志3)で行われる。