松本・高宮のモデルハウス&ギャラリー「craft 松本アトリウム」(松本市高宮北5、TEL 0263-28-5010)で現在、企画展「松本と山陰をつなげてみることで、きっと何かが始まり出す」が開催されている。月間イベント「工芸の五月2014」の一環。
鳥取県倉吉市のギャラリー「COCOROSTORE」が、山陰地方の手仕事品・民芸品などを出展。モデルハウスという空間を生かし、リビングや和室、キッチンや廊下のスペースを使って、陶器、ガラス、竹、木工、紙、布、刃物、アクセサリーなどのさまざまな作品約300点を展示する。
島根県安来市の安来鋼を地鉄(じがね)に挟み製作する「大塚刃物」は、刃の表面には日本海の荒波をイメージした波模様が施されている。自分に合う握りの柄を選んでオーダーすることもできる。「因州和紙」は便せんや封筒、ぽち袋などのアイテムのほか、手すきの紙も。ほかに、数十枚の紙を重ね合わせて作ったアクセサリーや、地元産のスギを使った弁当箱なども用意する。
鳥取県で型染めをする谷口恵美子さんの作品はカラフルな色合いが特徴。身近なモチーフから型を彫り、もち粉とぬかで作ったのりで型を取り染色している。21世紀梨を使った木製のランプシェードは同店がプロデュースしたもの。高齢のためにナシ作りをやめた農家から、木地師・本城靖男さんにナシの木が託され、地元のデザイナー・松ヨウコさんがデザインを担当した。
「山陰は、松本と同様に工芸や民芸が根付いている土地」と同店の田中信宏さん。松本で民芸運動に携わった松本民芸館創設者の民芸作家・丸山太郎をはじめ、染織工芸家・三代澤本寿、松本民芸家具の創業者・池田三四郎などとのつながりも深い。
鳥取出身で、3年前までは松本で暮らしていたという田中さん。現在は、同店を営みながら、全国各地で出展も行っている。「よくある物産展は食品がメーンで、民芸品は隅の方にあることが多いが、見せ方一つで変わる。もっといろいろな地域で、山陰の手仕事の良さを見てもらいたい」。松本で初となる同展は知人を通じて実現した。「暮らしとつながるものは、家とつながっていく。モデルハウスでこのような展示ができるのは面白い」とも。
作品は販売も行う。小皿=900円~、カップ=1,800円~、紙のアクセサリー=3,000円~、大塚刃物=5,000円~、型染めストール=7,000円~など。営業時間は10時~17時。5月26日まで。