松本市里山辺の松本民芸館(松本市里山辺下金井、TEL 0263-33-1569)で現在、企画展「刺し子と東北の民芸」が開かれている。
同館創設者の民芸作家・丸山太郎さんが収集した品から刺し子40点とその他の民芸品、合わせて約140点を紹介。刺し子は江戸時代後期ごろに実用目的で作られ始め、大正時代ごろには人目を引くように凝った刺しゅうが施されるようになり、作業着から農民の晴れ着や嫁入り支度になっていったという。同展では東北地方のほか、北陸地方、信州の刺し子の仕事着や財布、手袋、風呂敷などを展示する。
「特に青森の『こぎん刺し』や『菱(ひし)刺し』は、ち密さと美しさで抜きん出ている」と館長の丸山廣登さん。糸の色を変えて刺しゅうを施した「菱刺し」の裂(きれ)は、生地にしま模様が入っているように見えるのが特徴。「本当に実直で一つ一つが丁寧な仕事。私たちが学ばなければいけないほど」
会津本郷焼、相馬焼、堤焼などの陶磁器や三春人形、磐梯熱海の張り子などの郷土玩具や蓑(みの)なども展示する。「暗くて寒い東北の冬、地域の人たちがきちんとやっていた仕事を感じられる」と丸山さんは話す。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は、高校生以上=300円、中学生以下=無料。月曜休館。1月26日まで。