浅間温泉の「手仕事扱い処GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で現在、漆芸作家・藤野征一郎さんの個展「藤野征一郎 漆芸展II」が開催されている。
藤野さんは滋賀県生まれ。金沢美術工芸大学(石川県)で漆芸を学んだ後、卯辰山工芸工房へ入所、現在も石川県内で活動を続けている。同ギャラリーでの個展は2年ぶり2回目。器、オブジェなど40点と箸60点ほどを展示する。
「以前と比べると箔(はく)を使ったものが多い」と藤野さん。漆を塗った上に金箔や銀箔を貼るために、塗った感じがそのまま模様のように浮き出ている作品や、箔を使って貼り絵のように絵を描いた板盆も。「予想通りになるものもあれば、偶然できあがるものもある(笑)」。ほかに、8月から開催されている「ヨコハマトリエンナーレ」の企画展で制作した郷土玩具「加賀八幡起き上がり」をモチーフにした「箔だるま」も並ぶ。
1日には、拭き漆を施した皿に箔を貼るワークショップが行われた。実際の作品を一緒に見ながら、色味や重ね方、かすれた感じの出し方などを説明し、参加者からの質問にも丁寧に答える藤野さんだったが、結局は「実際はやってみないとわかりません(笑)」ということに。藤野さんが用意した皿は1枚1枚木目によって表情が異なり、参加者は皿の選択から真剣なまなざしに。箔は、金銀だけではなくアルミやスズなど数種類あり、色だけではなく厚みも異なる。その中から好みのものを選び、真綿を使って押さえるようにして貼っていく。貼った後に削ったり、網目のようなものを使って散らすようにまいたりと、さまざまな方法で思い思いの皿を作り上げた。
「漆、箔など素材が合わさることで繊細な質感が生まれる。それによっていっそう素材の魅力が深まると思う」と藤野さん。今回は、畳敷きの同ギャラリーに合わせて茶道具なども展示する。「畳に直接並べることをイメージして用意した。ゆっくり手にとってご覧いただければ」
作品は全て販売も行う。箸=2,940円~7,000円、箔だるま=3,500円~、板盆=3万5,000円~など。営業時間は、土曜・日曜・祝日の10時~18時。平日に来店希望の場合は事前の連絡が必要。入場無料。今月30日まで。最終日は藤野さんが在廊を予定している。