松本市の中心市街地で8月1日、「第35回夏まつり松本ぼんぼん」が行われ、過去最多の305連26,500人が踊りに参加し、夜の松本が熱気に包まれた。
「松本ぼんぼん」は1975(昭和50)年に始まった夏祭り。毎年8月の第1土曜日に松本駅東側から松本城にかけて広がる中心街で行われる。「連」と呼ばれる参加グループが、軽快なサンバ調の音楽に合わせて、休憩を挟みながら約20分の踊りを7回踊り、コースを回る。
当日は昼過ぎからあいにくの雨。それでも市街地は多くの出店や浴衣姿の人たちでにぎわいをみせた。時折強く降ったり、雷が鳴ったりするなど中止も心配されたが、歩行者天国が始まる17時になると、参加連のメンバーはコースに出て踊りの準備を始め、雨がやむのを祈りながら開始を待った。
踊りの始まる18時になると、降り続いていた雨がやみ、青空が見え出して会場は大盛り上がり。オープニング式典では松本商店街連盟の土屋忠史会長が「皆さんの踊りと熱気で雨を吹き飛ばしましょう」とあいさつ。「アルプスの里に響かせよう、歌と踊りを」の掛け声で音楽が流れ出し、鮮やかな法被や浴衣に身を包んだ各連が勢いよく踊り始めた。
松本の社会人サッカークラブチーム「松本山雅F.C.連」は、サポーターを中心に約80人で参加。試合会場やオフィシャルホームページなどで一緒に踊る参加者を募集していた。グリーンのユニホームに身を包み、特製のうちわを持って「松本ぼんぼん」のフレーズを「松本山雅」に言い替えて踊った。日ごろ試合の応援をしているだけあって、勢いと力のこもった声が響いた。山雅を運営するアルウィンスポーツプロジェクトの窪田浩明さんは「平日夜に練習してきた。楽しく踊れれば」と話していた。
「正統松本ぼんぼん連」は草創期から伝わる正調の踊りで参加。近年、自由度の高い踊りをする連が多く満足できなかった市内の女子高生が、正調な踊りの格好良さに魅了され、連を作った。腰を落とし、手足の先までぴんと伸ばした踊りの質の高さに、見物客が足を止め、写真を撮る姿が多く見られた。
毎年数人の審査員が踊りやマナーを守っているかなどを審査し、最優秀賞や優秀賞、アイデア賞などを決定しており、今年は「アルピコ連」が最優秀賞に選ばれた。21時ころまで続いた踊りの後に、受賞者の表彰や参加者によるゴミ拾いが行われ、今年の松本ぼんぼんは幕を閉じた。