松本のファッションやカルチャー、人物を紹介するZINE「spica(スピカ)」の取り扱い店舗が広がりを見せている。
市内在住の上条胡春さんが企画・編集。「No.002」号は、3月20日に長野市で行われた「ZINE FEST長野」で先行販売。注目スポットをピックアップする特集では、洋菓子店「菓子 壱」(松本市丸の内)の店主・朝吹太さんにインタビューした。ほかに、芥子坊主農村公園で昨秋行ったキャンプを振り返る「ゆる朝キャンプ日記」や、バッグの中身を見せてもらったり、お気に入りの一着を紹介したりするファッション企画、地元店主が名盤やおもちゃを薦めるコラムもある。
上条さんは松本市出身。「10代の頃は、松本には何もないし、外に出たいと思っていた」と振り返る。やりたいことが見つからず、1年ほど家で過ごしていた時期にあらためて自分の好きなものについて自問自答。「服が好きで、古着を扱う仕事がしたい」と外に出てみると、街中には個性あふれる店があり、そこに集う魅力的な人々がいることに気付いたという。
2024年2月、松本パルコの閉店を機に、ZINEを作ろうと決めた。「町のために何かできることはないかと考えた。デジタルではなく、めくったり、ちぎってコラージュしたりできる手触りのあるものにしたかった」と上条さん。「No.000」号を創刊したのは同年6月。タイトルは、昨年解体された松本駅前のファッションビル「スピカビル」から付けた。「昔はファッションビルだったことを母に聞いてわくわくした。なくなった後も、何かのきっかけで話題になるような冊子にしたいという思いを込めた」と話す。
これまでデザインや編集の仕事をしたことはなかったというが、企画から取材・執筆、写真撮影やイラスト制作を自ら行い、母や妹の協力を得て完成させている。現在は次号の構想を練っているところで、年内の発行を目指す。「街中に面白いことはたくさんあるのに、若い人たちがそこに入っていける隙がないように思う。地元の人をはじめ、外にいる人にも手に取ってもらって、何かとつながるきっかけになれば」とも。
A5判、44ページ。価格は500円。「菓子 壱」のほか、「The Source Diner」(大手4)、雑貨店「TOCA by lifart…」(同)、古着店「Dokka」(丸の内)、中古レコード店「CAPTONE RECORD STORE」(中央4)などで販売する。