1人または2人暮らしを想定した「小さな住まい」の模型展「棲(す)み家展」が現在、松本市のギャラリーカフェ「ギャラリーノイエ」(松本市大手3、TEL 0263-87-7077)で開催されている。
安曇野の設計事務所「らふ提案室」の久我奈緒子さんが、1人または2人暮らしを想定した家造りを提案する企画展。それぞれに設定したクライアントプロフィールから、5つの提案を用意。模型と平面図に加え、設計コンセプトなども紹介する。
「ヘソマガリハウス」と名付けて提案する家は、東京から移住した45歳・イラストレーターの女性をクライアントとして設定。市内中心地の住宅に囲まれた狭小地を有効活用し、四角い土地に斜めに建物を配置する。室内は壁をなるべく減らし、視線を計算して空間を分ける設計。窓から入る光の変化も楽しめるように配慮する。提案はほかに、店舗兼住居の「菓子売る家」や高齢者夫婦向けの「隠居住宅」などもある。
期間中は予約制で「自分だけの住まいを考えるミニワークショップ」も開催。自身の1日の行動を付箋に書き出し、その際に感じる悩みや望みを思い浮かべていく。その後、行動のつながりを意識しながらゾーニングすることで、理想の住まいをイメージする。「家造りは、自身の生活を見直すことから始まる。既存のものに捉われず、どんどん『妄想』を膨らませてほしい」と久我さん。自由に動かしながらイメージできるようにと、パズル模型も用意する。
久我さんは2014(平成26)年、東京から安曇野に移住。2016(平成28)年に同事務所を立ち上げた。それまでは、主にホテルなど大きな建築物を手がけていたが、周囲からの声で「小さな住まい」の需要を感じるようになったという。「自分でも1人暮らし用の中古マンションを探したが、なかなか見つからなかった。だったら建てたほうがいいのではと思うようになった」と振り返る。
昨年2月に「棲み家展」を初開催。その後もワークショップや相談会を行っている。「自分1人で暮らす家なら、自分のことだけ考えて、もっと自由な家造りができるはず。1人でも2人でも、家造りを楽しむきっかけになれば」と呼びかける。
開催時間は10時30分~18時(最終日は17時30分まで)。11月25日まで。ワークショップの予約はウェブで受け付ける。