JR松本駅で、約40年にわたって列車の到着時に流れてきたアナウンスが11月17日、更新された。
「まつもとぉ~、まつもとぉ~」というこれまでのアナウンスは、1985(昭和60)年ごろから使われていた。声優の沢田敏子さんの郷愁を誘う独特の抑揚が特徴的で、地元住民や旅行客、鉄道ファンなどから人気を集めていた。新しいアナウンスも、長年親しまれていた音声に近づけるよう配慮し、語尾の長さは受け継がれている。
JR東日本が管内で進めている放送機材の更新に伴い、これまでの音声を引き続き使うのは技術的に難しく、首都圏などと同じものに切り替えることになった。10月下旬、アナウンスの変更がメディアなどで取り上げられると、JR東日本や松本市には使用の存続を求める声が寄せられた。同社長野支社広報室は「コストや制作工期などの観点からメーカーごとに統一化された音声を使用することを理解してほしい」とし、長年親しまれてきたことに感謝するとともに、感電などの危険から長尺のマイクによる録音などは控えるように呼びかけてきた。
アナウンスを聞くことができる最後の日となった16日には、ホームで音声を録音する人の姿も多く見られたという。新宿発最終の特急あずさで松本に到着した乗客からは「ホームでスマホなどを構える人がたくさんいた。なじみのあったアナウンスを聞くのは最後だと思うとしんみりした」という声が聞かれた。