
松本・四賀地区のカフェバー&トークラウンジ「tocoroni(トコロニ),」(松本市会田)が3月7日、地域の子どもたちが宿題をする場を提供する「宿庭(しゅくば)」を始めた。
同店は、建築設計・デザインなどを手がける「アルトコロニ,デザイン」が事務所兼ラウンジとして昨年12月にオープン。昭和初期の木造住宅を改装し、土間には卓球台を置き、イベントスペースに。奥はカフェバーとしてカウンターとテーブル合わせて15席ほどを設ける。カフェバーは第2・4金曜、土曜に営業し、第4土曜にはトークイベントも開いている。
代表の吉野歩さんは「地域に開き、人が集まる場をつくりたい」と話す。「宿庭」の取り組みもその一つ。カフェバーの営業と合わせて第2・4金曜の17時~19時にスペースを開放。中学生の国語、数学、英語の宿題に、吉野さんが一緒に取り組む。思い描くのは、奈良・生駒の「まほうのだがしやチロル堂」のような、地域で無理なく経済を回す仕組みだという。「試験的に中学生を対象にまずはやってみて、様子を見ながら地域に合うような形にしていきたい」とも。
吉野さんは群馬県出身。建築系の大学院で学んだ後、東京の設計事務所に勤務。その後、宿泊施設「里山十帖(じゅうじょう)」などを経営する「自遊人」(新潟県南魚沼市)で、浅間温泉の老舗旅館の再生プロジェクト「松本十帖」のマネジメントに携わった。
独立を考え、場所を探し始めた際に、同僚から四賀を進められたという。古民家カフェ「KAJIYA」(五常)を訪れ、店主の石井裕士さんと意気投合。2022年春ごろに、8年ほど空き家になっていた同物件を紹介してもらった。「人と縁が決め手。いろいろな人がいて良い場所だと直感的に思ったが、ここで過ごすうちに徐々に確信に変わった」と吉野さん。少しずつ改装を進めて内部を整え、昨年6月には石井さんと共に同社を設立した。
月1回のトークイベントは、さまざまなゲストを招き、人生観や日常生活の知恵、作家であれば表現や制作に取り組む姿勢などを聞いている。「子どもも大人も、気軽に入れるような仕掛けをつくりたい。共感する人を増やして、一緒に楽しんでいければ」と意気込む。