美術家・千田泰広さんによる展示「透明の交差」が1月24日~29日、信州大学(松本市旭3)松本キャンパス内「赤レンガ倉庫」で開催される。主催は信州大学人文学部芸術ワークショップゼミ。
千田さんは1977(昭和52)年、神奈川県生まれ。現在は辰野町を拠点に、「空間の知覚」と「体性感覚の変容」を主題としてインスタレーション作品を制作し、国内外で活動している。
同ゼミが2008(平成20)年から毎年行っている、アーティストを招いた企画展。昨秋以降、辰野町で行われた千田さんの展示に足を運んだり、オンラインで話を聞いたり、千田さんが以前行ったワークショップを再現したりしながら、作品への理解を深めてきた。広報を担当する同学部3年の高橋ひなさんは「どのような作品にするか決めてから制作するのではなく、進めながら考え、時には偶然も取り込むようにして作り上げることを知った」と話す。
赤レンガ倉庫は、国の登録有形文化財である医学部資料室の通称。1908(明治41)年以降、松本に駐屯した第五十連隊が食料保管庫として使用し、戦後は跡地に松本医学専門学校が移転して校舎や倉庫に利用していたという。学生らが展示の会場として使いたいと考え、歴史についてもあらためて調べた。「歴史ある建物と、私たちのような学生、そしてアーティストが交わることで、どのような空間が生まれるのか楽しみ。これまであまりアートに触れてこなかった人にも足を運んでほしい」と高橋さん。
展示に併せてさまざまな企画も用意。先月、学生らが制作した木製の「本の巣箱」を会期中は構内に設置する。展開プログラムとして、2月6日~12日は「マツモトアートセンター」(大手1)で展示を行い、8日には千田さんを迎えてアーティストトークを開く。
1月20日には、千田さんが選んだ書籍を題材にした読書会を行った。ゼミ生を中心に約20人が参加。「本の巣箱」の制作の際に一緒に作ったたき火台を用いて、たき火を囲んだ。選書の中から、恒久的持続可能な環境を作り出すためのシステムを提唱する「パーマカルチャー」(ビル・モリソン著)の一説をプリントして各自で黙読。千田さんは17歳ごろに読んだといい、「読み直すと時代がかなり変わっていて、今の方がより真剣に人間が生きられる環境について考えていると思う」と話した。火をくべたり、炎を眺めたりしながら、環境問題や便利な暮らしなどについて語り合った。
開催時間は12時~17時。入場無料。