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松本で「クラサワ工房」展 家族で手がける農民美術、木彫りの魅力を

倉澤満さん(右)と鈴木良知さん

倉澤満さん(右)と鈴木良知さん

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 上田市で伝統工芸「農民美術」を手がける「クラサワ工房」の企画展「木を彫るということ」が現在、松本・浅間温泉のギャラリー「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。

「こっぱ人形」は猫や女の子を用意

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 農民美術は、洋画家の山本鼎が大正時代に提唱した芸術運動。農閑期の副業として始まった工芸品の制作は、全国各地で講習会が開かれた。発祥の地となる上田では、1949(昭和24)年に長野県農民美術連合会が結成され、技術の継承や若手の育成が行われている。

 同工房は1975(昭和50)年に設立。倉澤満さん・鈴木良知さん兄弟と、倉澤さんの三女・亜子さんが制作を行っている。同展では、大小さまざまなサイズのレリーフを中心に、オブジェやプレート、花入れ、「こっぱ人形」など約250点を展示する。

 大型のレリーフは、公共施設や福祉施設などからの受注が中心。草花や木々などの植物のほか、フクロウを描いたものも多い。「木目から絵が浮かぶこともある。木との対話が大事」と満さん。鈴木さんが手がける作品は、北海道の雄大な景色や星空を描いたものもあり、「続けるうちに、グラデーションを使った繊細な表現が多くなっていった」と話す。

 満さんがデザインを担当する「野の山 山の花」シリーズは工房オリジナル。リンドウやアザミなどさまざまな花を描いたレリーフは、彩色は水彩絵の具を用い、絵画のように仕上げている。「音色」と題した大型のレリーフは兄弟2人の合作で、満さんがフクロウ、鈴木さんがコスモスとそれぞれ得意なモチーフを組み合わせた。

 上田獅子は、市内の旧常田村と房山村に伝えられる常田獅子、房山獅子の総称。舞う様子を彫ったレリーフのほか、直方体の置物もある。今年の干支(えと)「たつ」にちなんで竜を彫った「龍神(りゅうじん)」は赤、青、黄色、緑とカラフルで、どこか愛らしい表情。亜子さんが手がけるこっぱ人形は、どんぐり帽は「秋のおんなのこ」、とんがり帽は「冬のおんなのこ」と名付けた。

 同ギャラリーの瀧沢一以さんは「上の世代の人は懐かしさ、下の世代の人は新たな魅力を感じられると思う。お隣の上田に根付く『農民美術』を多くの人に知ってもらう機会になれば」と呼びかける。

 価格は、オブジェ=660円~、レリーフ=3,600円~など。営業時間は10時~18時。日曜・木曜定休。10月26日まで。最終日は満さんと鈴木さんが在廊する。

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