松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-3400)で8月23日より、「奥谷博展-『奥の美学』のパラダイムです」が開かれている。
同展は、文化功労者でもある洋画家・奥谷博さんの作品展。東京藝術大学受験のために描いた「二十歳の自画像」(1955年)から、同展のために描いた「松本城」(2008年)まで、およそ半世紀にわたる作品76点を展示している。
6日には奥谷さんと、府中美術館長で多摩美術大学教授の本江邦夫さんによる「ギャラリートーク」が行われた。奥谷さんが制作時の状況を説明し、本江さんが作品の構図などの解説を加えていきながら、参加者とともに会場をゆっくり回った。
エントランス横に展示されている「松本城」では、「藤棚の下のベンチに座ってデッサンをしていたら、隣で子どもも同じように絵を描いていて…『おじさんは上手』といわれた」というエピソードも披露。本江さんは城と欄干の構図に着目し「お城はペタっと、平面的に描かれているが、欄干は丸みがある。2次元と3次元が1枚の絵の中で対照的に描かれている」と解説した。ある絵が落選したときのショックを「目の前が、暗くなってね…」と奥谷さんが話すと、本江さんは「でも、落ちるのは一流の証とも言いますから」と受け、会場の笑いを誘う場面も。時折、参加者からの質問にも答えたりするなど、穏やかな雰囲気で2人のトークは進んだ。
開館時間は9時~17時(19日はナイトミュージアムのため20時まで延長)。入場料は、大人=1,000円、大学生、高校生、70歳以上の松本市民=600円、中学生以下は無料。同16・22日は休館。今月23日まで。14日・19日は「学芸員によるギャラリートーク」も行う。